28歳で大企業を辞めた久保田さんが、熊本にある創業95年の旅館オーナーになった理由。

老朽化した建築の改修で大忙し!

――温泉宿の経営をはじめてみて、どんなところに面白さを感じますか?

今は、とにかく悩みが尽きないこと……!もう考えなきゃいけないことが多すぎて、ぜんぜん退屈しません。どうやって営業を再開しようか。たくさんの人を集めるにはどうすればいいだろうか。毎日そんなことを考えています。

めまぐるしいけど、すごく楽しいんですよ。もちろん、それはボランティアの方やクラウドファンディングでサポートしてくれる人たちの協力があってのこと。とても感謝しています。

――今はどんなことに取り掛かっているんでしょう?

館内の雨漏りがすごいから、一刻も早く修繕しようと動いているところですね。大正時代の建物なので、老朽化が激しいんです。

すべてきれいに修繕するには6000万円ほどの大掛かりな改修工事が必要で……。クラウドファンディングで資金を集めたり、事業計画を練ったり、ボランティアで来てくれた人たちと一緒に館内の掃除や片付けをしたりする日々です。

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温泉の無料開放が呼んだ新しい出会い

――最近、うれしかったことはありますか?

今年の4月に、10日間ほど温泉の無料開放を実施したんです。80人ほどの人が入りにきてくれて、地元の人から「昔はよく遊びにきていたんです」なんて声も聞けました。さすがは歴史のある温泉宿、ずっと愛されてきたんだ、と実感できたのも大きな収穫でしたね。

さらに、この無料開放をきっかけに、熊本市内の建材屋さんが「余った資材を無料で提供するから使ってください」とお声がけくださったんです。
その流れで、余っているレトロなタイルも提供いただいたり、無料期間中に植物販売のポップアップストアを出してくれる人が現れたり。それを目当てに来てくださる人も出てきて、いろんな出会いに恵まれました!


無料開放に向けて建物の掃除・片づけに協力したボランティアの方々

――久保田さんが、はたらく上で大切にしていることは?

やっぱり、“人とのつながり”だと思います。ハウスメーカー時代も、家を1軒建てるとき、営業に設計士さん、大工さんなど、たくさんの人がチームになって役目をまっとうし、すばらしい家が建つ様子を見てきました。

一人ではできない規模のことも、力を合わせれば成し遂げられます。周りに感謝の気持ちを忘れずに、みんなとともに歩もうと心に決めています。