マンガの実写化においては、さまざまな理由から原作と違うオチをつけなければならないことがあります。そうした改変は原作ファンから厳しい目を向けられてしまいがちですが、意外にすんなりと受け入れられた作品も少なくありません。



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原作と異なるラストをどう評価する?

 人気マンガが実写化される際、ファンとして気になることといえば、ひとつはキャラクターの再現度、もうひとつは原作のストーリーがどれだけ忠実になぞらえているかという点ではないでしょうか。映画の上映時間やドラマの放送枠が限られているので、ある程度の改変は仕方ないにせよ、原作と異なるオリジナルの結末には賛否の声がつきものです。

 そのひとつとして、まず『GANTZ』の実写シリーズが挙げられます。同作は謎の黒い球体「ガンツ」によって招集された人間たちが、生死を賭けて怪物じみた「星人」たちと戦っていくSFアクションです。2011年1月に初の実写映画化を果たし、同年4月には2部作の完結編にあたる『GANTZ PERFECT ANSWER』が公開されました。

 原作のラストは、主人公たちがついに最強の異星人を倒し、海辺で大勢の人びとから感謝されながら終わるというハッピーエンドでした。ところが実写版では、主人公である「玄野計(演:二宮和也)」が仲間を守るために、その身をガンツに捧げるという、「自己犠牲エンド」で終わるのです。

 正確には玄野が犠牲になって、「ガンツの中の人」になったおかげで死んでいった仲間たちも生き返り、ハッピーエンドともとれる結末を迎えるのですが、この映画オリジナルの結末には「原作読んでるだけにモヤっとする結末だった」「多恵ちゃん(演:吉高由里子)がかわいそう」「寂しさや悲しさが余韻として残る結末は個人的に好き」などと賛否が分かれました。

 ちなみに『GANTZ』は原作、アニメ、実写映画でそれぞれ異なる結末を迎えます。その評価は人それぞれで、「実写映画の結末が一番良かった」という声も少なくありません。

 そのほか、2009年に公開された『20世紀少年-最終章-ぼくらの旗』もまた、原作にはない余韻の残るラストが注目を集めた作品です。同作は20世紀の終わりに人類滅亡を企む謎の男「ともだち」とそれを阻止しようとする主人公たちの物語で、実写映画は3部作が公開されました。

 原作と映画で異なる点はさまざまありますが、なかでも印象的だったのは、ともだちの真の正体である「カツマタ君」に関する描写ではないでしょうか。カツマタ君は主人公「遠藤健児(ケンジ)」の同級生で、ある日を境にクラスメイトから無視され、死んだ人間として扱われるようになります。

 原作ではいじめの理由はおろか、カツマタ君の素顔すらも明かされていませんでしたが、実写映画ではエンドロール終了後、カツマタ君がなぜ死んだように扱われたのか、どうして「ともだち」になったのか、そして彼の素顔まで明らかにされています。このラストの展開は原作ファンの間でも好評を博し、後に発売された原作の完全版では映画のオチに近づける形で加筆修正が行われていました。

 また、本郷奏多さん主演のドラマ『アカギ 鷲巣麻雀完結編』も、原作とは異なる展開でエンディングを迎えています。同作は無頼の若きギャンブラー「アカギ」が賭け麻雀を通して成り上がっていく物語で、2015年に初の実写ドラマ化となり、2018年にはシリーズ第3弾として『アカギ 鷲巣麻雀完結編』が放送されました。

 戦後日本を裏から支配していた大物フィクサー「鷲巣巌(わしず いわお/演:津川雅彦)」と、金と血液を賭けて麻雀で戦う「鷲巣麻雀」編は作中屈指の人気エピソードです。しかしドラマ放送当時はまだ原作マンガ『アカギ~闇に降り立った天才~』が完結しておらず、「鷲巣麻雀」も継続中だったため、実写ドラマ版にオリジナルのオチを付けざるを得ませんでした。

 なかでも大きな変更点だったのが、アカギに敗北した鷲巣の末路です。原作では激闘のすえ、血を抜かれすぎて半死半生となり、部下が輸血で助けたことにより鷲巣の反則負けに終わりました。一方実写版では、部下の必死の蘇生も虚しく、鷲巣は死亡してしまいます。最後の最後でまだ生きていたことが暗示されていましたが、それでも原作と比べてややシリアスな雰囲気をまとっていた印象です。

 原作と異なる結末は賛否を招きやすいものの、それもまた実写化ならではの醍醐味かもしれませんね。