性犯罪で収監中の父親と身のこなしは瓜二つ。16歳の「ジョイア(宝石)」がサントスとプロ契約!【現地発】

 サントスのU-17に、「ジョイア(宝石)」と称される16歳の細身のMFがいる。左足で柔らかくボールを扱い、鋭い切り返しでマーカーをかわして果敢にシュートを放つ。視野が広く、パスの精度も高い。今シーズンはU-17で14試合に出場して6得点。今年8月にプロ契約を結んだ。
 
 その喜びを彼は、自身のインスタグラムに「最愛の父がかつて在籍したクラブとプロ契約を結ぶことができて、夢のよう」と記した。
 
 利き足の違いこそあれ、ボールの持ち方や軽やかな身のこなしが、父親とそっくりだ。
 
 ロブソン・ジュニオール――。サントス、レアル・マドリー、ACミラン、ブラジル代表などでドリブラーとして一世を風靡したロビーニョ(40歳)の息子だ。クラブ関係者の中からは、「大変な才能の持ち主。いずれ、父親を超えるのではないか」という声が聞こえてくる。
 
 現時点でサントスは、ロブソン・ジュニオールへのインタビュー依頼を一切、受け付けていない。
【画像】16歳のロブソン・ジュニオール
 父ロビーニョはミラン在籍中の2013年、ミラノ市内のナイトクラブで若い女性に集団で性的暴行を加えた容疑で訴えられ、22年、イタリア最高裁から9年の実刑判決を言い渡された。イタリアでの刑執行はブラジル国内での刑執行に切り替えられ、今年3月に逮捕されてサンパウロ郊外の刑務所で服役している。クラブは、この将来有望な少年が父親に関する質問を受けて傷つくことを恐れているのだ。
 
 まだトップチームの公式戦ではプレーしていない。しかし、いずれトップチームへ昇格しても、クラブは取材を許さないつもりなのだろうか。
 
 ブラジルでは、偉大な父親を持つ二世選手が大成した例は極めて少ない。裕福な生活環境で育つため、ハングリー精神に欠ける選手が多いし、父親との比較に耐えられない。
 
 ロブソン・ジュニオールの場合は、これらの”ハンディ”に加え、「父親が性犯罪のため刑務所に収監されている」という特殊な事情が加わる。
 
 しかしながら、父親が罪を犯したのは息子の責任ではない。ロブソン・ジュニオールが今後、選手として大きく成長し、父親を超えるほどの選手になることをサントスのクラブ関係者、サポーターのみならず、多くのファンが願っている。
 
文●沢田啓明
 
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。

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