キャリアの終盤は横浜FCでプレー。ジュビロ磐田からシーズン途中に移籍した2019年、そして現役最後の2022年に、中村俊輔は選手としてJ1昇格を経験している。
引退後は横浜FCのコーチに就き、2年目の今季は指導者としてJ1昇格を目前に控えている。
「選手たちが本当によくやってくれていると思う」
そう言って目を細める俊輔。シュート練習などでボールを蹴れば、相変わらずの健在ぶりだが、マインドは完全に指導者のそれだ。
「一年、まだ終わっていないけど、結果を出している選手がいるとして、伸びた選手って、また別だったりもするから。なかなか結果を残せていないけど、伸びているなって」
先発組でも、なかなか試合に絡めなくても、一人ひとりの成長が指導者として何よりの喜びなのだろう。だからこそ、自らも気を引き締める。
「自分もJ1のレベルに見合う、通用する指導者にならなければいけないなっていうプレッシャーをかけている。そうやってやらないと。選手たちと一緒に切磋琢磨させてもらっている感じ」
同時に、かつて日本代表や欧州クラブで戦い抜いたレフティは、厳しい視点も忘れない。「J1の基準だったり、世界に出ていけるレベル。それから逆算すると、質をもっと高くしてほしいし、自分も要求すべきなんじゃないか」。そんなことも考える毎日を過ごしている。
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何かを伝えるべき立場だから、責任を持って、指導にあたっている。そのためには、自身のブラッシュアップにも注力する。
「それは選手の時と一緒。何か探しながらやらないと。よその試合も見るし、今年だったらEUROがあって、今はACLもある。いろんな試合を見て、いろんなことを感じてやらないと」
時代の流れに置いていかれないように。現代サッカーのトレンドをしっかりキャッチできるように。すべては選手にもっと成長してほしいから。
「どの監督、どのチーム、どの戦術、どの国に行っても通用する選手というか。勝てる指導者、それにならなければいけないとは思うけど、大きな枠で言うと、そういうこと」
自分の現役時代を振り返ってみる。「ビッグクラブではできなかったし、ワールドカップで結果も残せていない」。そんな自己評価も、指導者としての原動力になっているのかもしれない。
飽くなき向上心で、横浜FCの選手たちをさらなる高みに引き上げようとしている。10月19日、横浜FCは敵地でベガルタ仙台と相まみえる。勝てばJ1昇格だ。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)
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