思いだけでは…防災のための人間関係
PTAに対する風当たりが強いために廃止したり、最初からPTAなしでスタートしている学校を取材してきた。けれど、保護者の参加が必要になって、代わりの体制を立ち上げるケースが多い。
「僕はここまでコミットしてるわりには、現実を捉えなきゃいけないと思っています。地元のおせっかい親父がいることによって子どもたちが育つ、というのはいい話ですが、今の時代はそれだけでは解決しません。
だから、ボランティア制にすごく共鳴しました。地域の役割という点でも、日本全体が人口減のなかで、コミュニティが成り立たなくなる。全国の町内会でも、最年少の若手が70歳という地域もあると聞きます。
PTA活動以外に、つながる目的があればどうでしょうか。私たちの学校は多摩川のそばにあるので、台風のときに氾濫すると、リスクが高い土地です。でも遠方に住む親族は、台風が来ても助けにこられない。
もし僕が被災したら、まず誰に連絡するか。PTOの仲間とか、行政機関の知り合いの方など、よく知っていて普段から連携のある人たちです。例えばそういった「防災」というキーワードをもとに、つながりを作っていくという考えもあると思います。
小学生のお子さんを持つ保護者の視点で、地域のつながりがなぜ大事なのかと、それぞれが深掘りしていけるといいですね」(久米さん)
PTAには賛否両論があるが、共働きや受験、親の介護など保護者たちの環境も昭和の時代とは保護者の環境も変化した。新しいPTAのカタチが求められる昨今、久米さんが話すように、防災や防犯というキーワードは、“つながり”を築くきっかけになるのかもしれない
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取材・文/なかのかおり 集英社オンライン編集部ニュース班