1947 Harley-Davidson FL/純正度の高い47を当時のアクセサリーでドレスアップ。

約18年前に知人から譲り受け、走り続ける岡本氏のFLは、ハーレー初の市販OHV Vツインとして’36年に誕生したナックルヘッドの最終モデル。ストックの装備を基調とし、ジュエルやアクセサリーパーツによるドレスアップ、ライザー/ハンドルのフランダースセットアップなど、トラディショナルなスタイルをイメージ。

また、ナックルヘッドエンジンの造形美を際立たせるために7インチから6インチへ変更した’30sのエアクリーナーがこだわりのディテールだ。整備は愛知県の旧車専科GOODY MOTORCYCLEが担当。

今年の真夏の炎天下での走行は極力避けていたと話すが、慣れた始動儀式で鼓動を刻み、軽やかに響き渡る排気音がグッドコンディションを物語る。やれたオリジナルペイントのブラックカラーにヴィンテージジュエルが輝く佇まいに往年のアウトローのオーラが宿る。

ヘッドライトに連なるようにオプションのフォグランプを備えるクラシカルなフロントマスク。フォグランプステーのジュエルやフェンダーステーのアクセサリーなど、さりげなく主張するレアパーツも見所だ。

ハンドル周り、シート以外はほぼオリジナルの装備をキープ。ブラックの下から下地や錆が浮き上がるオリジナルペイントに積年の重みが漂っている。オリジナルの雰囲気を崩すことなく、ヴィンテージアクセサリーを用いたドレスアップや、ブラックペイントに対してアイボリーのシートカバーが生み出すコントラストがこの車両のアイデンティティと言える。

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1968 Porsche 911L/ロス・ラングリッツが生涯愛したナローポルシェ。

ロス・ラングリッツが他界した後もファミリーが大切に保管し続け、2006年にファミリーから岡本氏が直接譲り受けたPORSCHE 911Lタルガトップ。言うまでもなくPORSCHEはドイツメーカーだが、911LはPORSCHEがアメリカ市場に向けて’68年に499台のみ生産した1イヤーモデルであり、タルガトップはアメリカのオープンモデルの安全基準を考慮して開発されたパッケージ。

つまり911Lタルガトップはアメリカ流儀のポルシェと言っても過言ではないだろう。さらに、’68年の911は玄人好みなショートホイールベースの最終型。クラッチ操作のないスポルトマチック車を選んだのは、右足が義足であったロス・ラングリッツらしい意匠と言える。低走行でオプションの装備やオリジナルペイントのバハマイエローが綺麗に残る奇跡的な個体である。

ロス・ラングリッツと同じステアリングを握り、世界観を共有できる岡本氏にとって唯一無二の1台なのだ。

車両をロス・ラングリッツが所有していた頃からのメインテナンスレコードやパンフレット、当時のナンバーなど様々な資料が岡本氏の手元に残っている。

タルガトップの電熱線のないリア・ラウンドウィンドーは’68年のみのオプション装備。911のタルガトップは’67年からラインナップされるが、’67-’68年は幌が採用され、’69年からはガラスウィンドーに電熱線が標準装備となった。排気量1991 ccの水平対向6気筒エンジンをリアに搭載するRRレイアウトで、当時のカタログスペックでは130馬力、最高速度131mphと表記された。

スポルトマチックとは’68年から採用されたセミオートマチックミッションで、ロスは義足のためにスペシャルオーダーによって、ブレーキペダルの左側に左足用のアクセルペダルを取り付けていた。

’68年までの911は2211㎜のホイールベースによるコンパクトなフォルムが特徴。’69年以降は安定性向上を狙って57㎜延長したため、’68年以前のモデルはショートホイールベースと呼ばれる。

【取材協力】

Langlitz Japan

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(出典/「CLUTCH Magazine 2024年11月号 Vol.97」)