季節の変わり目のせいか、最近なんだか鼻やのどの調子が悪い……。もしかしたらそれは“秋花粉”が原因かも。風邪と間違えやすいといわれる秋花粉だが、実は日本人の約2割が秋花粉を引き起こす“ブタクサ”にアレルギーを持っているそう。今回は、そんな秋の花粉症についてアレルギー専門医が徹底解説する。
春のスギ花粉よりは症状が軽いけど……
連日の猛暑がようやく終わりを告げ、秋の訪れを肌で感じるようになってきた10月。
アウトドアアクティビティをのびのびと楽しめる季節になったと思いきや、この時期の外出では“秋花粉”に悩まされる人も少なくない。
NPO花粉情報協会の理事も務める、ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック院長・永倉仁史氏は、秋花粉について次のように説明する。
「秋はブタクサによる花粉症に悩まれる方が多いです。次いで、ヨモギ、カナムグラなどが秋花粉の原因として挙げられます。秋花粉の主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、あとは喉のイガイガなどですね。
風邪と区別しづらいこともありますが、熱や咳は出ないのに、鼻、目、喉に違和感を覚えたら秋花粉を疑ってみてもいいかもしれません」
一般的にあまり馴染みのない秋花粉だが、春花粉との違いは?
「秋のブタクサ花粉は、春のスギ花粉のように広範囲には飛散せず、花粉量もスギのほうが圧倒的に多いと言えます。そのため、ブタクサ花粉はスギ花粉に比べると症状の強い方が少ない。
スギ花粉は、ひどい鼻づまりやくしゃみで眠れない方や、呼吸困難になる方、気管にきてしまい喘息症状を引き起こす方もいますが、ブタクサ花粉ではそこまでの方を見たことがないですね。
とはいえ、ブタクサ花粉だけ陽性が出る方もいますし、スギ花粉とブタクサ花粉の両方を併発している方も多いです」
また、ブタクサの花粉症を持っている人は、次のような食材にもアレルギー反応を示す可能性が高いという。
「ブタクサ花粉を持っている人は、スイカ、メロン、バナナなどを食べたあと、口や喉にかゆみやしびれが出る口腔アレルギー症候群(OAS)を併発している場合が多くあります。これらの食材が有するアレルゲンは、ブタクサ花粉のアレルゲンと一部構造が似ています。
ちなみにスギ花粉は、メロン、キウイ、バラ科の食材と抗原が共通しているとよく言われますね」
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秋花粉は、草むらに近付かなければ安全
一説によると、日本人の約2割が陽性だという秋のブタクサ花粉。なにか対策方法はあるのか。
「スギ花粉とは異なり、ブタクサ花粉は飛んでも数メートルから数百メートルほど。スギ花粉のように、どこにいても症状が出てしまうというわけではありません。
ブタクサは公園や空き地、河原など雑草の多いところに生えているので、草むらがあるような場所に近付かなければ避けられるでしょう。
そういう場所をどうしても通る場合は、マスクの着用によって花粉の吸いこみを抑えることができます。
ちなみに、ヨモギはブタクサと同じく土のあるところに生えており、カナムグラはつる植物なのでガードレールや金網などに絡まっていたりします」
逆に、雑草が生えていないような場所でアレルギー症状が出る場合は、秋花粉ではなく“ダニアレルギー”の可能性があるという。
「ダニは25~30度で育ち、その温度以下になると死骸になって飛び散ります。そのため、毎年10月くらいになると、気温の低下で夏までに繁殖したダニが死んで空中に死骸が飛び散るため、ダニアレルギーの症状が出る人も多くなるようです。
いずれの場合も、まずはアレルギー血液検査を受けてみることをおすすめします」