今後、9~10本程度のレンズがラインナップされる。その中には標準レンズも!
Remater SlimはAFモジュールをベースに、今後も様々な光学ユニットのラインナップが計画されているとのことだ。現在は広角系のみが発売されるわけだが、どのようなラインナップが用意されるのであろうか?
10月14日、SAMYANG本社からプロダクトマネージャーのLee JI HOON氏が来日し、筆者のYouTubeチャンネルのコア登録者を集めて、実物を手に取って撮影していただく内覧会が行われ、今後の展開が解説された。
それによると、今後9~10本程度のレンズモジュールを出すとのこと。今回は広角レンズばかりであったが、もう少し長いレンズはどうかという問いに対して、明るい標準レンズを出すことが決まっているとのことだ。光学モジュールのサイズに制限されることから、おそらく50mm前後が最長になるだろう。口径比で計算すると焦点距離50mmに対して光学モジュールの口径が1cm強であるから、頑張ればF2.8(口径比で1/4)くらいは実現できそうだ。期待したい。
さらに、Remaster Slimの商品展開の可能性の1つとして、28mm F2.8 ノンコートレンズの試作品も紹介された。発売される3つのレンズとは違うレンズ構成である。
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開発者に今後の展開も聞いた
以下、来日した開発者のLee氏へのインタビューの内容となる。
プロダクトマネージャーのLee JI HOON氏。V-AFシリーズの開発者でもある。
Q:このようなコンセプトのレンズ群を発売することになった理由は何でしょうか。
HOON氏:
私たちは、時代を超えた価値を発掘し、それを新たに解釈することで、マニアにインスピレーションを与えるレンズを作りたいと考えました。今回発売したRemaster Slimには、かつての伝説的なP&Sフィルムカメラへのオマージュが込められています。
インスピレーションを受けたコンパクト・フィルムカメラは、「いつでもどこでも自由に」というコンセプトを持っています。このコンセプトを現代的に再解釈し、写真を撮る体験を提供したいと考えました。その過程で、かつては欠陥とされていた光学系の特徴をそのまま活かし、フィルムのような仕上がりを実現するレンズを作ることになりました。これは、シャープで速いだけを追求してきた従来のステレオタイプな価値とは異なり、撮影の楽しさや表現の自由に焦点を当てた製品です。
今回発売された製品群では、アナログ的なフィルムカメラの感性を再現するために、特に背景のボケとグロー効果に注力しました。ちなみに、「グロー」とは、ドイツのカメラブランドのユーザーがオールドレンズの特徴を説明する際によく使う用語で、この効果が写真に柔らかく暖かい印象を与えます。
このようなアナログ感性は、言葉で説明するよりも実際にレンズを使っていただくことで、より直感的に感じていただけると思います。私たちのレンズを通じて、撮影の楽しさと新しい感性を体験していただければ幸いです。
まとめ
今回、映画制作者やブライダル系のビデオグラファーにこのレンズを触っていただいたのだが、概ね大好評だった。特にオールドレンズの味を残したまま、現代レンズのピントの良さを持ち、オールドレンズの欠点では周辺の甘さを排除している点に注目が集まった。アナログの良さと最新のレンズ設計の融合がこれほどまで効果があるとは目から鱗だと言わざるを得ない。
開発者によると、「ユーザーから再現してほしいオールドレンズのリクエストをいただき、開発をしていきたい」とのことで、今後が期待できる。
筆者としては、例えばライカのエルマー50mm F2.8、コンタックスT2の35mm F2.8 Sonnarなどをリクエストしてみた。
また、大口径レンズの需要も大きいことから、パンケーキではないひとまわり大きなAFモジュールを作り、F1.4クラスの光学モジュールへの期待も開発者に伝えている。
いずれにせよ、AFモジュールと光学モジュールを別に開発できるわけだから、開発・生産コストが下げられ、数多くのレンズラインナップを期待できることは事実だ。そういう意味でもSAMYANGを応援したい。