GT500タイトル射程圏の100号車STANLEYシビック、トムス勢を倒すにはレースペースの改善が必須?「そうでないと戦えない」

 今季のスーパーGTも残り3戦となり、各クラスのタイトル候補も少しずつ絞られてきた感がある。その中でGT500クラスのランキング3番手につけているのが、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTの山本尚貴、牧野任祐組だ。

 100号車シビックはここまで5戦で2度の表彰台を獲得。また全戦で7位以上と高い安定感を誇っており、36号車au TOM'S GR Supraの坪井翔、山下健太組(49ポイント)、37号車Deloitte TOM'S GR Supraの笹原右京、ジュリアーノ・アレジ組(48ポイント)に次ぐポジションにつけている。

 今回の第7戦はオートポリスが舞台だが、第5戦鈴鹿が12月に延期されたことで今季6レース目となる。そのため、本来であれば規則によりサクセスウエイトが半分となるはずが、フルウエイトを積んでのレースに。上記のランキング上位3台は、燃料流量を3段階下げられた状態で、なおかつ36kg〜48kgのウエイトを積まなければならない。

 オートポリス戦で、フルウエイトの3時間レース……まさに未知の戦いと言えるが、100号車シビックの星学文エンジニアは、今季から投入されたシビックはオートポリスでの実走行データがないため、その点でも未知数だと語る。 

 

「シビックの場合は、ここで走っていないのが懸念点です。今季から車高を上げるレギュレーションになりましたが、その中で最大限のエアログリップが欲しい時にどれほど(車高を)攻められるか……そういった実走行データがありません。日曜日のウォームアップでどうやってそこを詰めるか、考えないとですね」

 そう語った星エンジニア。オートポリスにおける燃料流量制限とウエイト搭載の影響については、次のように述べた。

「ここオートポリスは予選一発のタイムと比べて、レースペースが結構落ちますよね。ですからセットアップが良いところにいれば、燃リス(燃料流量リストリクター)の影響、重量の影響を減らせるのではないかと考えています。決勝のコンディションに合わせてうまくマシンを作った車両がうまく追い上げられると思います」

 100号車シビックは今季、毎戦しぶとくポイントを稼いでいる。昨年ドライバーの山本が課題に挙げていた「決勝で強いクルマづくり」がシビック元年の今季にできつつあるのかと問うと、星エンジニアはレースペース自体はそれほど良くないのだと語る。

「他がペナルティなどで落ちてくれている中で、なんとか生き延びているだけなのかなと思います」

「正直レースペースはまだまだ改善していかないといけないと思います。どちらかというと予選一発のほうが、うまく合わせられた時にライバルに近付けている印象で、相性の良いサーキット、悪いサーキットが見えてきたと思います。ただ決勝ペースはそんなに良くはない。決勝は落としていないだけかなと」

 つまるところ、タイトル争いでトムス勢に勝つにはレースペースのレベルアップが急務なのかと尋ねると、「そうしないと多分戦えないですね」と星エンジニアは一言。特に最終戦の舞台である鈴鹿は、最近トヨタ・スープラ勢が速さを見せているサーキット。だからこそ、今回のオートポリス戦ではトムス勢の前でチェッカーを受けることが至上命題だと考えているようだ。

 また、ランキング2番手につける37号車スープラのジュリアーノ・アレジも、今回のレースでは展開次第でしっかりポイントを積み重ねられると考えているようだが、現段階ではリザルトについてはあまり意識したくないという。

「当然、3段階の燃料流量ダウンに46kgのウエイトというのは、大きなハンデだ」

「でも、ここは難しいサーキットだし、レース中は色んなことが起こる。だから賢くレースを戦えば、それがプラスになるし、しっかりポイントを稼げるはずだ。表彰台だってあり得るかもしれない。去年はミヤタ(宮田莉朋/当時36号車スープラ)が重いマシンでかなり速かったしね」

「ミスなくうまくまとめられれば、良い仕事ができる。それが目標だけど、簡単ではないのも分かっているし、あまり結果については考えたくない。いかに自分のベストを出せるか、チームとしていかにミスなくやり切れるかに集中したい」