意図的なアッパーブローはミスのもと
「35度前後の落下角を作り出すには、アッパーブローでのインパクトは不可欠です」と石井。ただし、それは意図的に作り出すものではないともいう。正しい作り方は左肩からヘッドまでを一直線にするインパクトで、シャフトのしなり戻りを使ったアッパーでヒットする。「これも数値でいえば“3度アッパー”が理想です」。
その「一直線」の作り方も切り返しからインパクトまでのシークエンス(一連動作)が大切で、下半身から上半身、クラブの順で動かすことで正しい軌道や入射角、打点が安定する。トップから動かす順番を意識しながら一直線を作ろう。
スイングをアッパーにするとヘッドが早く落ちてダフったり、ボールに届かずトップしてしまう
トップからインパクトまでのシークエンスは「脚→腰→胸→腕→シャフト→ヘッド」の順
インパクトまでに動かす順序が大切。
順序が反対になると、クラブが外や上から入ってしまい、飛ぶ落下角が作り出せない
肩からヘッドまでを一直線にするイメージ「シャフトのしなり戻り」でアッパーを作る
ヘッドをかち上げるのではなく「一直線」のイメージで、しなり戻るシャフトでアッパーブローを作り出す
スクエアグリップの人は「体の真ん中で一直線」でいいが、フックグリップの人は「体の左寄りで一直線」を作る。
これはハンマーでモノを強く叩くときと同じ。ハンマーをフックグリップのように左手を上からかぶせて握ったときは、体の中心で叩いても力を出し切れない(×)が、左手を体の左寄りにすると強く叩ける
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原因はロフト不足かも!?
ロフトを増やすとスピンも増える。1度3000回転前後のスピンが入る設定を試してみよう
近ごろはドライバーもボールもロースピン化が進んでいるが「プロ並みにスピン量が減った」とよろこぶ一方で、飛距離は実際に伸びているだろうか?前述したようにHS40前後は、スピン量2700 回転未満はロースピンすぎる。その解決方法として「スピンを増やすのにダウンブローでロフトを立てて打つのは絶対にNG !」と石井。
プロ、アマチュア問わずインパクトロフト(または、ダイナミックロフト)の理想値は、設定されたロフトよりも3から4度寝て当たっているので、ドライバーでのディロフト(ロフトが立つ)はご法度だ。
スピンを増やす、打ち出しを上げる、落下角を適正にするのも“ロフトを増やす”がいちばん簡単で間違いない。「3000回転までスピンが増えないドライバーはオーバースペックです。弾道調整機能つきでしたら、ロフトを増やして打ってみてください。スイングを変えなくても飛ぶ弾道に変わる可能性が高いです」。これも試してみる価値は大いにありそうだ。
〇:アッパーブローも手伝って、設定ロフトよりも3、4度寝て当たるのがインパクトロフトの理想値。10度のドライバーなら13度くらいでヒットするイメージをもっても○
✕:設定ロフトより立って当たるのも×だが、アタックアングル(入射角)が上から入り、インパクトロフトがさらに立ってしまうのはもっとダメ!
石井にスイングは変えずに、ロフト9.5度とロフトを10.5度に寝かせたドライバーをHS40前後で打ってもらった
ロフト9.5度は、あきらかな打ち出し角とスピン不足で、キャリー・トータルともHS 40 前後によくある飛ばない飛距離に。弾道が低いのにランも伸びていない。
ロフトを1度寝かせた10.5度は、適正なスピン量で落下角も◎。ランも9.5度よりも10 ヤード近く伸びて230ヤードを超えた
いかがでしたか? 石井プロのレッスンを参考にして、落下角度を意識した練習をしてみてください!
計測モデル=手束 雅
●てづか・みやび/2000年生まれ、徳島県出身。22年日本女子オープン出場やマイナビネクストヒロインゴルフツアーでの優勝経験のある選手。石井忍に指導を受け、次なる目標のプロテスト合格に向けて邁進中。
レッスン=石井忍
●いしい・しのぶ/1974年生まれ、千葉県出身。プロゴルファーから指導者への道と進み、エースゴルフクラブを主宰。ツアープロコーチとしては政田夢乃や都玲華らを指導。ほかにもトーナメント解説者、ジュニア育成などゴルフ界で幅広く活躍している。
写真=相田克己
協力=エースゴルフクラブ 千葉