いつもと一味違う変わった船旅を体験できるという「ミステリーきっぷ」をご存知だろうか。東京諸島の大島・利島・新島・式根島・神津島のいずれかのうちのひとつに行けるチケットなのだが、なんとその行先は自分で選べず、当日窓口で伝えられるまで不明なのだ! 船旅未経験の26歳女性・筆者が、この「ミステリーきっぷ」を一人旅で体験してみた!
「ミステリーきっぷ」とは?
当日窓口でチケットを受け取るまで、行先がわからない東海汽船「ミステリーきっぷ」。そのギャンブル性と、破格な料金設定で大人気を博している。
通常の東海汽船の東京〜大島区間の大人運賃(2024年10月分)は、2等室・片道6,230円だが、「ミステリーきっぷ」の大人運賃は往復で5,800円(こども2,900円)。
なんと通常の料金から実質半額以下で、かなりオトクに船旅が楽しめるチケットなのだ。
人気が高く、今回はもともと10月2日〜10月30日までの期間限定での販売だったが、すでに11月21日まで延長が決定している。
船は、東京・竹芝桟橋を22時に出港し、翌日の19時に帰港するスケジュール。東京諸島の大島・利島・新島・式根島・神津島のうち、「ミステリーきっぷ」購入者はそのいずれかの島に降り立つことになる。
例えば、大島着の場合は朝6:00に到着して14:30に復路の便に乗船するため、島内では8時間30分ほど滞在・観光が可能だ。
しかし、滞在時間が一番短い神津島の場合は朝10:00に到着して朝10:30に復路の便に乗船しなければならず……滞在時間はなんと30分のみ!
船室は大型客船2等和室で、雑魚寝スタイル。
行先や部屋の等級を変更することはできないため、運に大きく左右される旅となる。
果たして、今回の旅先は……。
式根島!
式根島着の場合、朝9:05に到着して11:25の帰りの便に乗船するため、2時間20分の滞在予定だ。つまり今回の船旅は、ほぼ船の上で過ごすこととなる。
ターミナルに到着しチケットを受け取ったのは21時。
船内ではWi-Fiが接続可能とはいえ、スマホが安定して使えるか心配だったので出航までのおよそ1時間、必死に式根島の情報収集をおこなった。
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女性一人旅でも快適に過ごせる船内の構造
いよいよ乗船。
一昔前まで船旅といえば長時間の軟禁状態で過ごしにくく、女性一人旅に快適とはいえない印象があった。しかし今回はそんなイメージを払拭するほど新しく綺麗な船内だった。
船内の構造は左舷側が女性、右舷側が男性と男女別々に分かれているので驚いた。船室は女性専用室となっているので、それだけでもホッと一安心だ。
乗客は意外にも男女半々といった印象を受ける。20代のカップルや、50代と見られる夫婦の姿もちらほら。女性の友人同士での参加や、一人旅らしき女性の方も多い様子だった。
「女性一人だとナンパされることもある」などの噂もあったが、そんな様子もなく……。
そもそも一人旅らしき若い男性乗客は少なく、若い男性はカップルや友人同士での乗船ばかり。乗船するやいなや甲板でビール片手にくつろぐ中年男性もいて、みんな思い思いに過ごしている。
東京の夜景を楽しむことおよそ30分。
街明かりは遠ざかり、真っ暗な海を進むようになると甲板から人が減っていった。
夜が更けていくにつれて夜行旅のワクワク感も増してくるというものだ。
しかし23時30分に消灯時間を告げるアナウンスが入り、すぐに就寝時間が来てしまった……。