〈26歳女性記者が行く〉ナンパの恐怖、和室で雑魚寝…行き先不明の日帰り船旅「ミステリーきっぷ」体験

セキュリティ面も安心! 肝心な船室は……

今回の旅は行き先も不安だったが、実は一番心配だったのが他人と雑魚寝すること。

さあ、問題の雑魚寝スタイルの2等和室。

一部屋の定員は10名。部屋は広々としていて想像以上に清潔感がある。

今回は気にならなかったが、2等和室には靴を脱いで上がるため、他人の足の匂いが気になったり、他人のいびきがうるさくて眠れなかったりすることもあるだろう。船内には売店がないため、事前にマスクや耳栓などを準備しておいたほうがよさそうだ。

Wi-Fi接続はというと、やはり船室では安定せず頼りにならない。乗船前に目的地の情報をしっかりと調べて備えておくことを強くお勧めする。

男女別々の船内構造や充実したセキュリティ面により、快適にゆったり過ごせる……と思いきやここで大問題が勃発!

……全く眠れないのだ!

2等和室は布団やベッドが常設されていないため床で就寝するしかない。

夜の海の冷えが伝達されるのか、床がとても冷たく寝転がると全身に冷気を感じる。

筆者が船旅に慣れていないためか、船のエンジン音もかなり気になる。ノイズキャンセルのヘッドホンを着用してみたが逆に音が反響してうるさいぐらいだ。

Wi-Fiの接続も変わらず不安定でスマホは使えず。持参した本を読もうにも消灯時間を過ぎているため部屋の電気はつけられない。眠いのに眠れない。しんどい……。どうしたものか。

そこで思い切って船内の散策に出てみた。

船内の電気は付いていて食堂も開放されているので、食堂や船内のベンチで本を読んだり事前にダウンロードしておいたサブスク配信のドラマを鑑賞したりすることが可能!……助かった。

深夜2時近く。流石にそろそろ眠りにつきたい。

そこで1枚100円で借りられる毛布を利用することに。チケットを購入し、インフォメーションセンターで受け取るシステムだ。深夜でも船員が常在していて心強い。

誰もいないスペースでひとり、麺を啜る。

船室に戻りようやく就寝……と思いきや、早朝5時。軽快な音楽とアナウンスが船内に響き渡った。

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ほぼ海の上! 島の滞在時間が2時間20分でも大満足!

甲板に向かう人々の姿に紛れ、眠い目をこすりながら外へ出てみると……。

朝日に照らされた綺麗な海の景色!
日の出を眺める、これぞまさに船旅の醍醐味ではないか!

日の出の景色を眺めていると、目的地である式根島までは残り3時間。

手持ち無沙汰になったものの、再び睡魔に襲われた。

夜間ほど寒さもエンジン音も気にならず、……その後、2時間ほど爆睡できた。

そして予定通りに式根島に到着!

この日は日差しが強く、気温は27度。室内温泉に行こうと思ったがまさかの休業中で、島の名産“明日葉”を使用した揚げパンや惣菜を食べながら泊海水浴場で海を眺めて過ごすことにした。ゆったりと過ぎる時間のなかで、日々の生活では味わえない充実感を得ることができた。

「ミステリーきっぷ」を利用して同じく式根島に降り立った19歳の大学生の女性に話を聞いてみたところ、Xで「ミステリーきっぷ」を知り、今回はじめて予約したのだそうだ。

式根島ではレンタル自転車を活用して、2時間20分の滞在時間で島を一周したらしい。

「船旅は初めてだったので、まずはきちんと安全に島へ辿り着くかどうかが不安でした(笑)。それから船内や島で変な人に絡まれないかなどの不安は少しありましたが、いざ乗船してみると、やっぱりスマホが使えないのが一番しんどかったですね。でも身の危険を感じたり不快感を抱いたりすることもなく、予想以上に楽しめました」

――――非日常を味わえる「ミステリーきっぷ」。当日まで予定が立てられず、船上ではスマホも思うように使えないという状況はあるが、常にスケジュールに追われる現代人にとって、自分を見つめ直す絶好の機会となるだろう。

定員は各日50名。興味のある方は、ぜひ一度体験してみてはいかがだろうか。

取材・文・撮影/逢ヶ瀬十吾(A4studio)