F1の来季ファステストラップポイント廃止にドライバーたちは賛否両論……サインツJr.は運要素を嫌う一方、ペレスは残念がる

 F1ドライバーたちは、来季から決勝レースでのファステストラップポイントが廃止されることについて、様々な意見を持っている。

 アメリカGP開幕を翌日に控えた10月17日(木)、FIA世界モータースポーツ評議会はF1レギュレーションに関する様々な調整を承認。その中で2025年以降、決勝レースでのファステストラップポイント制度が消滅することになった。

 各グランプリの決勝レースでファステストラップを記録し、かつトップ10以内でフィニッシュしたドライバーに1ポイントを付与するというこの制度は、2019年に導入された。しかしこのレギュレーション変更が望ましい効果を発揮することはほとんどなく、スピードよりもレース状況によってポイントが決まることが多かった。そのため、この変更について質問されたドライバーの大半は、ファステストラップポイント制度がなくなっても特に悲しむことはなかった。

「僕は常に必要ないという意見だった。主に、どうポイントを獲得するかという理由でね」

 そう語るのはフェラーリのカルロス・サインツJr.だ。

「今は、レース終了1周前にポジションを落とすことなくピットストップできた人にポイントが入る。誰がレースで1番速かったかを示すのではないんだ。1番速かったドライバーに1ポイントが与えられるべきだ」

「ほとんどの場合、偶然か運か、レース状況によって、レースのある時点でフリーピットストップを行なえたドライバーに与えられるポイントになっている」

 サインツJr.の意見には、メルセデスのジョージ・ラッセルも同意した。

「ファステストラップポイントはいつも、厳しいレースを強いられているドライバーがピットインして、新品タイヤを履いて追加ポイントを獲得するモノだから、少し無意味だと思っていた」

 ラッセルはそう語り、次のように続けた。

「その恩恵にあずかることはなかったから、なくなって嬉しいよ」

 なおサインツJr.のチームメイトであるシャルル・ルクレールも同様の意見を述べていた。

 しかし、全てのドライバーがファステストラップポイント制度廃止に賛成しているわけではない。レッドブルのセルジオ・ペレスは、決勝レース終盤にファステストラップへ挑む際にドライバーやチームにかかるプレッシャーをかなり気に入っているという。

「あまり賛成できないね」とペレスは言う。

「多くのモノを与えてくれた。特にチームとドライバーのタイトルがかなりタイトになっているときは、それが大きな違いを生むようなレースもあった。僕たちは1シーズン24ポイントについて話している」

「なぜ変更されたのか分からない。僕はかなり良いと感じていたんだ。挑む時には、メカニックがピットストップを正しく行ない、自分が正しいラップを刻むというプレッシャーがかかる。これはベストな選択ではなかったと思う」

 一方、例えば予選でポールポジションを獲得したドライバーにポイントを与えるなど、F1でのボーナスポイント制度の未来について訊かれたサインツJr.はこう語った。

「そうだね、それには同意する。ポールポジションは、少なくともF1では大きな価値のあるモノだし、予選で最速タイムを記録する時は、最もクリーンなラップを刻んだことになる。少しリスクを負うかもしれないけど、ポールポジションのために全てを賭けたということだ」

「1台だけが全てのポールポジションを獲得するような状況では、あまり意味がない。しかし勢力図が接近しているという理想的なシナリオでは、レースのファステストラップよりも意味があると思う」