マクラーレンとメルセデスの両チームは、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催されるアメリカGPに向けて、大規模な空力アップデートを投入。スプリント週末ながら、シーズン後半戦に向けてさらなるパフォーマンス向上を目指した。
マクラーレンは新しいフロントウイングと、それに合わせた新しいフロントサスペンションをCOTAに持ち込み、フロント周りで発生させる空気の流れを調整した。
またマクラーレンはフロントブレーキダクトの空力も変更。サーキット対応のために冷却ダクトのサイズも変更した。これはCOTAでは通常、ブレーキ温度をマネジメントするために大きなインレットを必要としないためだ。
加えて、チームはリヤサスペンションのフェアリングも変更し、空力性能をさらに向上させると共に、リヤブレーキダクト冷却口を新たに設けた。
そしてマクラーレンはCOTAにハイダウンフォース仕様のリヤウイングを持ち込んだ一方、ビームウイングは1枚翼に。これによりリヤエンド全体の空気抵抗を低減しつつDRSの効果を引き上げた。
ただマクラーレンは以前から開発が言及されてきた新しいフロアをCOTAで使用せず。シミュレータでのパフォーマンスが必ずしもコース上で発揮されるというわけではなく、今季は複数のチームがフロアアップデートで思うようにいかず撤回を余儀なくされており、マクラーレンは慎重を期したのかもしれない。
マクラーレンと同様にメルセデスも、新しいフロントウイングとフロントサスペンションのパッケージを用意。これについてチームは「フロントウイングの後方乱気流を低減し、マシン後部への流れを改善する」ためだと説明した。
またメルセデスは、アメリカGPで新たなボディワークを投入。サイドポンツーンのインテーク開口部上側(オーバーバイト)の面積を増やした。これにより、マシン内部の冷却コンポーネントを通る気流の質を改善することを目指した。
さらにチームは小さな突起が追加されたエッジウイングとフェンス部分に調整が加えられたフロアをW15に装備。メルセデスはベルギーGPで新しいフロアを投入した際に、マシンセットアップ面でトラブルが続き使用を見送ってきた。アメリカGPではそれに続くフロアが持ち込まれたが、FP1でドライバーはマシンの挙動に悩まされている様子だった。
ただルイス・ハミルトン曰く、スプリント予選に向けて行なった変更がうまくいったという。これでアップデートが機能していることを核心したようだ。
シーズン序盤とは異なり劣勢を強いられているレッドブルはアメリカGPに向けて、フロアエッジウイングを変更。サーキット対応のため、冷却特性を改善するためのサイドポンツーンを組み合わせた。
その他アストンマーティンがフロントウイング、フロア、ボディワークを変更し、AMR24のダウンフォース発生量を改善。アルピーヌはフロアとボディワーク、リヤウイングにアップデートを施した。アメリカGPではピエール・ガスリーが新仕様、エステバン・オコンが旧仕様のマシンを走らせる。
RBは新しいフロアをアメリカGPに持ち込んだが、今回がチーム母国戦でありRBとコンストラクターズランキング6位を争うハースはフロアやサイドポンツーン、ボディワークの冷却機能を変更し、パフォーマンス大幅向上を目指した。
ザウバーもフロントウイングとサスペンションフェアリングを変更し、2024年シーズン最初のポイント獲得を狙っている。