「罰則無しで誰が守るの?」「外国人には通じません」渋谷・新宿の路上飲酒、通年禁止でどうなるハロウィーン?

10月末のハロウィンに向けて、渋谷区の長谷部健区長と新宿区の吉住健一区長がそろって海外メディアに向けて会見を開き、期間中の路上飲酒などをやめるよう呼びかけた。強い口調で注意喚起した背景には、来街者の度重なるマナー違反があるようだ。

渋谷の代わりに新宿でバカ騒ぎが……

すっかりおなじみになった、ハロウィーン期間中の渋谷での大パレード。仮装した人々が集まって盛り上がる姿は海外でも話題になり、いまやこれを目当てにしてやってくる外国人観光客もいるほどだ。

しかしその一方で、毎年問題になるのはゴミのポイ捨てや暴行騒ぎ、器物破損などの迷惑行為。これを受けて2019年から渋谷区では「渋谷ハロウィーン対策検討会」が設置され、同年からハロウィーン期間中や年末年始の渋谷駅周辺での路上飲酒を禁止する条例を制定した。

さらに2024年10月からは、年間を通じて路上飲酒を禁止すると改定されている。

渋谷区でのハロウィーン対策は年々強化されており、特に昨年は新型コロナウイルスが落ち着いた後の初めてのハロウィーンということで、非常に多くの来街者が予定された。

そこで、区長が「ハロウィーン目当てで渋谷区に来ないでほしい」と訴えたことで、来街者が激減。ピーク時に6万人来ると予想された中、実際は1.5万人程度と、4分の1にまで抑えることができた。

しかしその一方で、昨年は渋谷区ではなく、隣の新宿区への来街者が増え、路上飲酒やゴミ問題が発生してしまったという。そこで今年は、新宿区でもはじめてハロウィン期間中の路上飲酒を禁止し、さらには来街を控えるよう呼びかけることになった。

仕方ないことではあるが、数年前まで渋谷のハロウィーンは、国を代表するイベントにもなりかけており、区が自ら「ハロウィーンを渋谷の誇りに」というメッセージを掲げるほど、ウェルカムムードを見せていた。

そのため、一部では〈外国人を誘致できるくらいの経済効果のありそうな文化だし、割り切って押し出しちゃった方がいい気がする〉との声もあがっている。

だが、ハロウィーンを正式にイベント化する案などはないのかと渋谷区に問い合わせてみると、企画管理課管理係から「ハロウィーンのイベント化につきまして、区では実施を考えておりません」との回答があった。

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2018年の軽トラック横転事件がターニングポイント

なぜここまで規制が強くなってしまったのか。同・安全対策課の担当者によると、大きな起点は2018年のハロウィーン。軽トラック横転事件をはじめとしたさまざまなトラブルが発生したことで、2019年に条例を制定するにいたったという。

そして今年の10月より条例が改正された背景には、新型コロナウイルスが落ち着いた後に根付いてしまった路上飲酒により、ごみの放置や騒音等のトラブルが深刻化したことだ。

「2019年の条例制定後、ハロウィーン・年末年始においては、一定程度の効果が見られたところですが、渋谷駅周辺において、街の方からも対策強化を求める声があがっていたことから、条例を改正することといたしました。

条例制定・改正後の効果につきましては、改正されてまだ2週間ですので、軽々に判断することはできませんが、街の方から『路上飲酒をしている人が減った』『ごみが少なくなった』との感想をいただくことはあります。

一方で、いまだ週末を中心に路上飲酒のひどいエリアは残っていますので、パトロールの頻度を増やすなどして当該エリアの改善を行っていきます」(渋谷区・安全対策課の担当者)

また、今年のハロウィーンから路上飲酒の規制を始めた新宿区の担当者にも話を聞くと、やはり昨年から来街者が一気に増えたことが関係していると明かす。

「今回の新宿区の条例の目的は人が多く集まることによって発生する迷惑行為や将棋倒しになる危険性を防ぐことです。昨年のハロウィーンではいつも以上に人が集まって、歌舞伎町の中心地では人があふれかえり、大きな事故に繋がる恐れがあると感じ、条例制定という対策をすることになりました。

今年のハロウィーン当日は警備員などを雇って配置し、人が滞留しないようにうながすなどしていきます。ただ、この条例は事故防止の意味合い的なものなので、この路上飲酒禁止の期間をハロウィーン期間以外にも広めていくことまではまだ考えておらず、今後の状況次第となります」