このシリーズはすでに30本もの格安イヤホンについて紹介している。そのすべての音を聞き比べた記事はすでに公開している。実はその少し前に、私(佐藤)宛にこんな指摘が届いた。
「中華格安イヤホンの王者の「KZ」を評価せずに、なにが探訪か。偏っている探訪だと思います」
ありがたい! 私はまだまだ格安イヤホンを語るには、経験が足りていないと自ら思っていたところ。そういう叱咤は大歓迎! 格安イヤホンの先輩方、もっと教えてください!!
ってことで、さっそくオススメ頂いた「KZ EDX Lite」を購入して、その音を聞いてみた!
・読者のオススメ
その方からご指摘を頂いたのは、2024年9月末。その当時のAmazonでの販売価格は「1000円を切りそう」とのことだったが、私が最近購入したところ1299円であった。あらためて値段を確認してみると、1499円になっている。微妙に値段の変動のある製品のようだ。
箱裏の製品仕様を確認してみると、再生周波数帯域は20~4万ヘルツなのでかなり幅が広い。これは抜けるような高音が楽しめそうだぞ。
中身はイヤホン本体と、ケーブル。イヤーピースが3サイズ(S・M・L)入っている。
イヤホン本体とケーブルが分離している。そう、これは「リケーブル」(ケーブルの付け替え)ができるモデルだ。中華系のイヤホンにはこういうモデルが多い。国産でもこのくらいの価格帯でリケーブルできるものが増えるといいんだけどなあ……。
ケーブルをつなぐとこんな感じ。耳の後ろにケーブルをかける「シュアがけ」タイプで、耳が当たる部分はシリコン製のカバーがついている。
スケルトンボディで透けてるのはカッコイイね。ちょっと高級感がある。
イヤーピースも少し特徴的で、小さな溝が入っている。耳にフィットしやすくしているのかも。
装着するとこんな感じ。あの小さな溝のおかげで収まりがいい。スルっと抜ける心配はなさそうだ。
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・聞き比べ
いつものように聞き比べといこう。今回使用する楽曲は、ザ・ナックの「My Sharona」だ。先に聞くのは、このシリーズで不動の1位を守り続けている、ハイユニットの「ハイユニット HSE-A1000」だ。
これは、「ビートルズの再来」と言われたザ・ナックの名を一躍世に知らしめたヒット曲である。しかし以降は奮わず、これ以外で彼らの曲を知る人はあまりいない。
非常にキャッチーなナンバーで、リズムとリフもボーカルも1度聞いたら耳を離れない。1度聞いただけで、誰でも歌えるようなわかりやすさが魅力だ。しかし単調なわけではない。個人的にはギターソロが猛烈にカッコイイと思っている。なのになぜ、あとにヒットが続かなかったのか……。
ハイユニットで聞くと、冒頭のドラムから次いで入るベース。左右に分かれたリードとサイドギター。そしてボーカルに至るまで、すべての音色が鮮明で、音の輪郭がハッキリしている。この曲にふさわしいポップな音を聞かせてくれる。
続いて、KZ EDX Liteでもいってみよう。
さすが高音域は4万ヘルツまで出るだけあって、高音はキテる、かなりキテる! 音の出は良いんだけど、その分、耳に刺さるような刺々しさだ。高音に比して、低音はいくぶん力不足。もう少し、底支えしてくれるとバランスは良さそう。
それから、付属のケーブルは硬いのでタッチノイズが気になった。そこで自前の柔らかいケーブル(4000円くらい)に付け替えてみたところ……。
低音の深みが増して、タッチノイズもなくなった。ケーブル次第でどうとでもなる良いイヤホンだと思う。音の刺々しさもある程度使用を重ねれば和らぐはず。
1000円台にイヤホンにしてはかなり良い。サブ的に1つ持っておいて、好みの音に育てていくのも楽しいかも。もちろん、リケーブル初心者にもおすすめできる。
だが、1000円超えているのと、リケーブル前提で使った方が良いことを考えると、トップ3に入りはないな~……。ってことで、順位の変動なしです。
1.アルペックス(Hi Unit)「ハイユニット HSE-A1000(PK)」 税込712円
2.JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン」 税込821円
3.DENON「AH-C260」 税込927円
このランクは随時更新していきたいと思う。皆さんの音楽ライフの参考になれば幸いである。