ラミネ・ヤマルの10月シリーズは後味の悪い形で終わった。スペインがデンマークを1-0で下した後、左足を引きずりながらヌエバ・コンドミナスタジアムを後にした。翌日、ラス・ロサス(マドリード近郊)の練習施設で検査を行った結果、過負荷と診断。バルセロナのドクターが、「彼が抱えている筋肉の問題は、左足のハムストリングにある」と補足し、早期離脱が決まった。
10月シリーズ(デンマーク戦とセルビア戦)のメンバーが発表される前から、バルサには「出場時間が増えている、一息つくにはいいタイミングだ。スケジュールが酷すぎる」と休息の必要性を訴える声が上がっていた。
しかしヤマルにその気はなく、スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督も、両手を広げて待っていた。招集を巡るバルサとスペインサッカー連盟(RFEF)の綱引きは、2020-21シーズンにバルサと代表で計4926分間プレーした後、故障を繰り返したペドリの件をきっかけに、緊張感を増している。
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バルサにとって障壁になっているのが、デ・ラ・フエンテ監督の存在だ。代表が選手の肉体的疲労を蓄積させている元凶という風潮に異を唱え、先日も、「シーズンを通して代表の拘束期間は1か月に過ぎない。プレー時間を管理するのは、70試合指揮下に置くクラブチームのほうがよっぽど簡単だ」と発言したばかりだ。
その際に、国際サッカー連盟(FIFA)のレポートを基にした数字と言って、代表の試合が占める割合は、全体の3.5%と補足したが、ヤマルに限れば、昨シーズンは23.15%(バルサで2957分、代表で893分)、今シーズンは20.4%(バルサで798分、代表で225分)だ。
「ラミネを招集する必要はなかった。我々は警鐘を鳴らしていた」とバルサの関係者は息巻くがが、連盟サイドでもあるプランを持っていた。ヤマルが累積警告による出場停止にリーチがかかっている状況を踏まえて、デンマーク戦でイエローカードをもらい、セルビア戦を出場免除させるというものだ。
しかし「イエローカードをもらうと思っていた」とコーチングスタッフが語った数分後に、左足を引きずりながらヤマルがミックスゾーンを通り過ぎた。受けたのはイエローカードではなく、試合後、「自分も闘いの場にいて、恐れていないことを教えたかった」と言い放ったビクトル・クリスティアンセンをはじめとした相手の激しいマークだった。
幸い数時間後、マドリードに戻った時には、痛みは幾分か軽減していた。しかし痺れを切らしたバルサは翌日朝にバルセロナへの帰還を要請した。
その決定が下された時、ヤマルはまだ眠っていた。昼過ぎに目を覚ますと、先述した通り、連盟のドクターによる検査を受け、過負荷と診断。バルサのドクターとの話し合いを経て、早期離脱の運びとなった。
バルサはインターナショナルブレーク明けに、ラ・リーガではホームのセビージャ戦(10月20日)、アウェーのレアル・マドリー戦(10月26日)、ホームのエスパニョール戦(11月3日)、その合間を縫ってチャンピオンズリーグ(CL)でホームのバイエルン戦(10月23日)と大一番が目白押しだ。
「ブレイク明けに何が起こるか見てみよう。我々は状況に応じて決断を下していくしかない。代表に選出されることは名誉なことだ。いかに優れた選手であるかを示している」と代表ウィーク前に語っていたハンジ・フリック監督は、チーム内で最も決定的な働きを見せる選手が片足を引きずった状態で戻ってきた今、何を思うだろうか。
一つ確かなのは、スポーツ部門が1日も早く帰還することを切望していたことだ。
文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙バルセロナ&スペイン代表番)
翻訳●下村正幸
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