我々が日常使いするフライトジャケットは、戦前である1930年代から軍用飛行服として米軍が歴史を発展させてきた。中でもプリミティブとも言える馬革製で仕立てられたA-2は、シンプルながら飛行服の色気が感じられる。米軍の飛行服には馬革、羊革、山羊革などのそれぞれ表情豊かな個性と特性を持った皮革が使われ、戦後になるとナイロンをはじめとした化学繊維へと素材が移り変わっていく。Buzz Rickson’sが今季展開する新作でも、歴史と誇り漂うフライトジャケットの世界は顕在である。

JACKET, FLYING, SUMMER TYPE A-2 / BUZZ RICKSO CLO. CO. CONTRACT No. W535 ac-21996

米陸軍航空隊が採用するA-2を製造したコントラクターの中で最多の7度もの納入を誇ったエアロレザー社。その中で1941年に製造した5度目の生産ロットに当たる“赤リブ”モデルが登場。4度目までの納入分では台襟が付いた仕様であったが、この5度目からは台襟を省略した仕様へと変更されたのが特徴で、このモデルは左右の前見頃が同じ型紙を使用しているため、ポケット位置を水平に移動して正面から見た時のバランスを保っている。

またスナップボタンにはリングスタッド型を使用するため、着込んだ時にドーナツ状に擦れやアタリが浮き出るのも個性的だ。赤いリブニットを装着したA-2は、全コントラクターである18社の中でエアロレザー社だけである。BR80644 / ¥231,000_

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JACKET, FLYING, SUMMER TYPE A-2 / WERBER SPORTSWEAR CO. ORDER No. 39-2951P

1930年代に型紙が誕生したA-2は1943年まで指定されたコントラクターが39度もの生産ロットで対応した。中でもウェーバースポーツウエア社は、戦前の1933年から1941年まで4度にわたりA-2を軍に納入した、歴史ある旧いメーカーの一つ。このモデルは1939年に製造した3度目のロットに当たるモデルを再現。

ジッパーには、身頃とジッパーのエンド部分をアイレットでかしめた、1930年代に主流だった鳩目ジッパーが装着されている。メインマテリアルには樹皮から抽出した渋液で鞣した後、職人の手で丹念にワックスを擦り込み、オリジナルレシピで製作したホースハイドを使用している。BR80646 / ¥264,000_