まるでスペイン語!? 三段活用する阿波弁「ちえる」ってどんな意味?

【拝啓、徳島より36】日本全国には地域ごとに独特なお国言葉があり、その豊かな表現力に驚かされることもしばしば。ここ徳島にも「阿波弁」と呼ばれる方言があり、言葉遊びのような面白さや、耳に残るリズムが魅力的です。移住してからさまざまな阿波弁に出会ってきましたが、その中でも特に印象深い阿波弁をご紹介していきます。

●もはや外国語? 三段活用する阿波弁「ちえる」



 移住してすぐに、地元のおっちゃんたちに教えてもらった言葉が「ちえる」。「こける、つまづく、落ちる」といった意味で使うのですが、こけたレベルによって、なんと活用系があるんです。

ちえる三段活用

レベル1「ちえる」:道を歩いていて、段差で軽くつまづいた時

レベル2「たりっちぇる」:数メートルの高さから落ちた時

レベル3:「うんどっちぇる」:あ、これはもう助からないな・・・と一見してわかる程度に落ちた時

 「ちえる→たりっちぇる→うんどっちぇる」と、活用が進むにつれてもはや日本語とは思えない。まるでイタリア語やスペイン語のようなラテンの雰囲気さえ漂います。ユーモラスな響きに思わず笑ってしまいますよね。

 「いつか使ってみたい!」と思っていましたが、移住してから早6年経つものの、まだ「ちえる」以降の活用系を実際に使ったことはありません。

 地元の方に「たりっちぇる」や「うんどっちぇる」を使った経験があるのか聞いてみたところ、「昔、崖から車が落ちるのを見たことがあるけど、あれはきっと“たりっちぇる”やったな・・・」とのこと。

 どうやら「うんどっちぇる」を実際に使うには、かなりハードルが高そうです。

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●奥が深い!印象的な阿波弁たち



 語尾が特徴的だったり、響きがかわいらしかったりするものが多い阿波弁。「ちえる」以外にも、印象深い言葉がたくさんあります。

使いやすさNo.1「ほなけん」

 「だからね」「つまりね」という意味で使う「ほなけん」。最初に使い慣れた阿波弁です。会話に取り入れると「お、徳島に染まってきたね!」と地元の人に褒めてもらえたりもします。あまりエセ感がないので移住者でも使いやすいのがポイントです。

便利な言葉「いける」の落とし穴

 徳島では「大丈夫」「問題ない」と言った意味で使われる「いける」。「ほなけん」と同様に、移住者でもすぐに使える言葉のひとつですが、使い慣れるまでには若干の時間が必要でした。

 移住してすぐの頃、ドライブ中に友人から「トイレ、いける?」と聞かれたとき。私は、トイレ休憩に行けるか、つまり「いくことができるか?=行ってもいい?」と聞かれていると思い、(私も行きたいよ!)の意味で「いけるよ!」と答えたら、次の休憩スポットまで我慢する羽目に…。

 「トイレ、いける?」「いける!」は「トイレ行かなくて大丈夫?」「うん、行かなくて大丈夫!」の意味だったんですね。阿波弁初心者には理解が難しい会話でした。