もともとは鉄道作業員など過酷な現場で働くワーカーが着用したカバーオール。それが今や時代を超えて現代まで愛されているのは、単なる作業着を超えたファッションアイテムとしての魅力があるから。その基本的なディテールをカバーオールの歴史を紐解いて学ぼう。
そもそもカバーオールとは……
18世紀後半に、頑丈で機能的なワークウエアとして誕生したカバーオール。端的に説明するとシャツジャケット型の作業着である。労働時の妨げにならぬようゆとりのあるシルエットを持ち、汚れから身を守るために設定されたミドル丈や、前身頃に設けられた多数の収納ポケットなど、機能性を全面的に押し出したデザインは、労働者に寄り添ったプロダクツとして、当時の働く人々から多大なる支持を得ていた。
(広告の後にも続きます)
ディテール解説「首周り」
1940年代以前のヴィンテージカバーオールの首周りに見られる、台襟と一体化したチンストラップ。これは作業時に襟のバタつきを防ぐためにデザインされたもの。上記のように第二次世界大戦期を境目にチンストラップの無い台襟になり、やがて台襟ごと無くなる開襟デザインへと変化していく。これは縫製の効率やパーツ点数の省略化によって変化していったと思われる。また首回りのディテールは個体の旧さを見分けるポイントにもなる。