小さいことを理由に諦めない。ゴールが遠ければ「ゴールの周り」を目指す
──目の前のチャンスを掴む行動力がすばらしいです。失敗が怖くて挑戦できなかった経験はありませんか?
体が小さいことを、何かを諦める理由にしたくはなくて。もちろん周囲と体型が違うことで制限はあります。でも最初から「できなさそうだな」とやらないでいるよりは、まずはやってみます。
でも、いざやってみると、今の状態では最終ゴールへの到達は難しいと分かることもあります。
そのときは、「ゴールは無理でもその周りには行けるかもしれない」「どうすればゴールに近づけるだろう」と考えてきました。あれこれ悩んだり、時には直感に頼ったりしながら、やりたいこと、好きなことに関わってきたんです。
──ゴールに近づくには応援してくれる仲間も必要だと思います。ご縁に恵まれているとおっしゃる後藤さんが、仲間を見つけるために意識していることはありますか?
いつもやりたいことを素直に言葉にしています。「これならできそう」と実現の可能性から考えるのではなく、「こうありたい」と思える姿を大切にしています。
体が小さくて周りに頼ることが多いからこそ、周りを巻き込んで楽しむにはどうすれば良いかを自然と考えられるようになったのかも。
わたしの「こうありたい」を実現する道筋を一緒に考えてくれたり、自信を無くして不安になったときにはお尻を叩いてくれたりして、共に進んできている気がします。
私が突拍子のないことを言っても、「おもしろいね」と思ってくれる仲間のおかげで、良い流れになっていくのだと思います。
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「当たり前の存在になる」小さな私の個性が光る役を演じたい
──後藤さんの今の夢はなんですか?
いろいろなお芝居に出て演技の幅を広げ、自分にしかできない役に挑戦したいです。
初舞台のときからお世話になっている天願大介監督は、私が障害者だからではなく魅力的だから選んだと言ってくれました。小さな私だからこそ、輝ける役を与えてくださったんです。
“障害者役”など特別な存在としてお芝居の世界に登場するのではなく、多種多様な人たちの中の一人、いわば“当たり前の存在”として登場したい。お芝居の世界にいる役者さんたちは、それぞれが十人十色の輝く個性を持っているもの。その魅力的な個性のうちの1つとして、私の表現を楽しんでもらえたら良いなと。
私の活動によって世の中の人が軟骨無形成症という存在を知り、世界にはいろいろな人がいると知ってくれたらうれしいです。
(文:徳山チカ 編集:いしかわゆき 写真提供:後藤仁美)