財務省が頑張るほど国民負担が重くなっていく
市営住宅や下水道など、すでに整備されているインフラを対象とした公共事業では、新設でなく適正管理に注力し、その代わり今の時代に必要な、「国民の生活を支える」とか、「子育てを応援する」といった部分に予算を配分する。
明石市はこうして若い世代の人口も増え、まちの好循環を拡大していきました。
国の財政に関しても、国民負担率ほぼ5割の国において、お金がないわけがないでしょうと、私は自信を持って言うことができます。
エコノミストの森永卓郎さんが書いた『ザイム真理教─それは信者8000万人の巨大カルト』(三五館シンシャ、2023年)が話題になりましたが、「お金がない」という考え方は財務官僚にとって宗教の教義のようなもので、彼らは先輩の言ってきたこと、やってきたことを否定できません。
官僚が気にしているのは自分の出世と、組織の先輩や同僚との関係性。そして関係のある政治家の顔色。気にするのは、我が組織と政治家だけで、国民のことは気にしていません。
「右肩上がりの成長」をいまだに信じていて、「予算額は増やすべきもの」という価値判断が働いているから、コストを抑えるなどという発想は、感動するぐらい持ち合わせていないようです。
とくに財務官僚は、官僚の中の官僚ですから、組織の論理に非常に忠実です。各省庁に一度つけた予算は削ることが難しく、国家予算は膨らむ一方。その財源は国民の血税ですから、財務省が頑張れば頑張れるほど、国民負担が重くなっていくのは一種の宿命といえます。
言うなれば、財務官僚は国民の負担を増やし続ける生き物です。そこに悪気はないからタチが悪い。さらに言えば、省益を守ることで、個々の官僚が直接的利益を得ているとは限らないのです。
官僚は自らの使命に忠実なだけですから、私としてはやはり、官僚機構の暴走に歯止めをかけられない今の政治家、そして官僚の言い分を垂れ流しにしているマスコミに問題があると思っています。
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わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇
泉 房穂
2024年9月17日発売1,045円(税込)新書判/256ページISBN: 978-4-08-721330-0
志半ばで命を奪われた男の、よみがえる救民の政治哲学!
◆内容紹介◆
2002年10月、右翼団体代表を名乗る男に襲撃され命を落とした政治家・石井紘基(こうき)。
当時、石井は犯罪被害者救済活動、特殊法人関連の問題追及等で注目を浴びていた。
その弱者救済と不正追及の姿勢は、最初の秘書・泉房穂に大きな影響を与えた。
石井は日本の実体を特権層が利権を寡占する「官僚国家」と看破。
その構造は、今も巧妙に姿を変え国民の暮らしを蝕んでいる。
本書第Ⅰ部は石井の問題提起の意義を泉が説き、第Ⅱ部は石井の長女ターニャ、同志だった弁護士の紀藤正樹、石井を「卓越した財政学者」と評する経済学者の安冨歩と泉の対談を収録。
石井が危惧した通り国が傾きつつある現在、あらためてその政治哲学に光を当てる。
◆目次◆
はじめに 石井紘基が突きつける現在形の大問題
出版に寄せて 石井ナターシャ
第Ⅰ部 官僚社会主義国家・日本の闇
第一章 国の中枢に迫る「終わりなき問い」
第二章 日本社会を根本から変えるには
第Ⅱ部 “今”を生きる「石井紘基」
第三章 〈石井ターニャ×泉房穂 対談〉事件の背景はなんだったのか?
第四章 〈紀藤正樹×泉房穂 対談〉司法が抱える根深い問題
第五章 〈安冨歩×泉房穂 対談〉「卓越した財政学者」としての石井紘基
おわりに 石井紘基は今も生きている
石井紘基 関連略年表