横浜家系の人気ラーメン店の公式Xで10月中旬に投稿された「今、米残して帰った女子2人見てたらdmください。」という連絡要求。米残しに対する静かな怒りが感じられるこの投稿は、10日以上経った今も5600万回以上表示され、さらには各ニュースサイトで報じられ、炎上しつづけている。この投稿をした店主は、いったいどんな意図で女性ふたりに連絡要求をしたのか。10月20日に店主を直撃した。
「自己申告制」のライス無料サービスにもかかわらず丸ごと残す客が
家系ラーメンでは当然のサービスのように定着している“ライス無料”や“ライス食べ放題”。
10年前に横浜で開業し、三郷に移転してから4年目になる『らーめん横浜三郷家』でも開店当初からライス無料のサービスは行なってきたが、「なるべく食品ロスを出さない」という店主の強い思いと試行錯誤の末、10ヶ月前から自己申告でライスが無料になるサービスを続けてきた。
米残し客への連絡要求投稿は、そんな中で起きたことだったという。店主の石川祐介氏(39)は話を聞いた。
――10月10日に投稿した「今、米残して帰った女子2人 見てたらdmください。」という投稿は、どんな意図で行なったのでしょうか。
俺からしたら「今、来たお客さん、傘を忘れましたよ」という連絡と同じような感覚でしました。三郷で店をオープンして4年、当初は他の家系と同じように無料ライスをつけてたけど、食べ残しがすごく多かったんですね。
その食品ロスをなくすためにあらゆる試行錯誤をしてきたんです。それで10ヶ月前から、ライスがほしい方は自己申告してもらうというルールにして、なおかつライスの量は「大中小」の3種類から選べるようにしたら、米残しが減った。
やっといい方法を見つけたと安堵していた中で、10月に入って米を頼んでおきながらおそらく一口も手をつけずにマルっと残した客が立て続けに2組出たんです。
――でも食べたいと思って頼んだものの、やはり食べられなかったというケースもありますよね。
もちろんそういうケースもあるし、べつに俺は「絶対に残すな!」と言いたいわけではない。ただ、頼んだ以上は残したら「ごめんね」と店員に声をかけてくれるだけでいい。
でもだいたいそういうふうに米を残す人というのは、入店時からものすごく態度が悪くてにらんできたり、残した米を丼のスープの中にドボンと入れて隠したり、お椀にティッシュを被せたりして隠蔽工作をする。
何も言わずにスッと帰るとか。そういう態度はおかしいんじゃないのか、と言いたいんです。
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「“炎上”以降ものすごい数のDMが来る」
――10日の女性客も、やはり態度は悪かったんでしょうか。
はい。初めてのお客さんでわりと若い子だったと思いますが、非常に態度が横柄だったみたいです。そのとき、俺と2人の従業員で店を回していたのですが、そのうちのバイトの子が「お客さん、お米残されましたね」と声をかけられないほど怖いと感じるような態度だったみたいです。
それで俺はバイトの子から報告を受けたあと、すぐさま「dmください。」と投稿したんです。
――その女性客からはDMは来たのでしょうか。
わからないですね、あれ以降、もうすごい数のDMが来るんです。「私が残しました」なんてDMはもう何件も来てる。
もし本当に残した女性からDMが来たとしたら、理由を聞いた上で、何かひと言だけでも言うべきじゃないのかということ、本来ならお代をいただくところだってこと、他店でもそれはやめた方がいいってことを言います。仮にライスが不味かったと言うなら改善します。
――そこまでの気持ちだったと。
俺は食べ物を粗末にするのが本当に許せない。食品ロスを出さないために毎月、米だけでなく麺も野菜もすべてリスト化し、確実に使い切れる必要最低限の食材だけを仕入れてやってきています。
なぜ俺がそんなに食品ロスにこだわるか? 人には育ってきた環境というものがあるでしょう。それによって思考が育まれるでしょう。こんなことを言ってお涙頂戴したいわけではないし、「だからどうだ」なんて細かいことを言いたくない。
でも、言わなきゃ伝わらないから言いますが、俺は母子家庭で貧困で腹を空かせた少年時代を過ごした。白米が大好きだけど、白米を腹一杯食べられる環境になかったんです。