漫画原作の実写化は、それほど珍しくない。静止画(漫画)のキャラが動画(実写)で再現されて、動き回る姿に感動を覚えることもある。その反面、配役がマッチしていなかったり、設定が改変されることなどもあって、原作ファンは実際に見るまで気が気でないはず。
そういう私(佐藤)はある作品の実写化に不安を抱いていた。それは2024年10月22日24時半から放送開始された実写ドラマ版の「ウイングマン」である。
実際にドラマを観たところ、これは…………、スゴイ! よく出来てる!! 期待通り、いやそれ以上かも!
・ウイングマンの実写化、大丈夫か?
原作のウイングマンは、週刊少年ジャンプで1983年から85年まで連載していた、SF漫画である。特撮ヒーローに憧れる主人公の中学生・広野健太が、異次元世界からきた少女・アオイと出会い、本当にヒーローとして活躍する物語である。
連載当時、私は小学生だったが、物語の世界観にハマり、作者・桂正和先生の作画に引き込まれて行ったのだった。全13巻の単行本を購入して、何度も何度も読み返したものだ。高校生になっても「ウイングマンは面白い」と友達に言いまわっていた記憶がある。
その作品が連載から40年を経て実写化する。その発表を知った時、「マジかよ!」と声を上げた。それと同時に不安な気持ちも沸き起こったのだった。あのウイングマンをちゃんと実写化してもらえるのだろうか?
最近の漫画原作の映画やドラマは、ファンの期待を裏切るケースが後を断たない。原作改変や制作都合の配役で、作品の名を借りた別モノになることもしばしば。「それならいっそ、オマージュとして別の名前で作れよ」と言いたくなることもある。
はたして、今作は大丈夫だろうか? 予告編の雰囲気は良さそうだったけど、本編で設定がおかしかったらイヤだなあ~……。
そう思いつつ、放送初日を迎えた。
今作の制作はテレビ東京・東映ビデオだ。テレビでの放送は、テレ東で火曜日の24時30分からとなっている。ちなみに放送後に「Tver」でもその週の1話が1週間視聴可能。また「DMM TV」では独占で各話を視聴することができる。
私はテレビ放送が終了した後に、Tverでゆっくりと第1話を観た。率直な感想を一言でいうと……。
イイ! とてもイイです!!
まずもって素晴らしいと感じた点を挙げると、広野健太を演じる藤岡真威人さんの演技が見事! ドラマでは高校生の設定だが、実直なヒーローバカの健太を上手く演じている。高校生にもなって特撮ヒーローに憧れて、コスチュームを自作するのぼせっぷりがピッタリとフィットしている。
その自作コスチュームの完成度も高くて、ドラマの制作陣の熱の高さも垣間見えた。ちなみに藤岡さんは、あの藤岡弘、さんの長男で、「仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ」では父を継いで、仮面ライダー1号の本郷猛を演じている。
それから正式なウイングマンのコスチュームがカッコいい! その昔、桂正和先生がオーダーメイドで制作した衣装が思い出される。令和の特撮技術で洗練された造詣のコスチュームに、古(いにしえ)のファンは興奮を禁じ得ないだろう。同様に「シードマン」と言われる敵のキャラの造詣も秀逸。さすが東映である。
放送を観るまで「もしかしてマーベルとかDCみたいな現代的な感じになるのかな」と思っていたが、ちゃんと日本の特撮ヒーローの空気を感じられる。それがいいんですよ! ちょっと野暮ったい感じと言うか、ちゃんと地に足が着いたリアリティと言いますか。
ドラマ全体に漂う世界観も含めて全部イイ! こりゃ今後が楽しみだ!
どこまでドラマで再現されるかわからないけど、「ウイナルド」とか出てくるのかな。「ソーラーガーダー」は出してほしいな。「デルタエンド」も再現してもらえるとかなりうれしい。
とにかく、思った以上に完成度の高いドラマなので、原作ファンはもちろんのこと、新旧を問わずヒーローモノが好きな方におすすめ。ぜひ観て頂きたい。チェイング!
参考リンク:ウイングマン
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24