衆院選の投開票日まで1週間を切り、報道各社の情勢調査で、自公の過半数割れの可能性が相次いで報じられている。自民党内では、当初の「自民で単独過半数を取れなくても、自公での過半数は大丈夫」とのムードは消え去り、悲愴感もただよう。そして早くも「過半数割れ後」を見据え、「ポスト石破」や「連立拡大」に向けたシミュレーションがささやかれ始めた。
前回、予測通りとなった朝日の情勢調査に永田町は戦々恐々
投開票日を1週間後に控えた10月20日夜、朝日新聞デジタルに情勢調査をもとにした「自公過半数、微妙な情勢」との見出しが躍ると、永田町関係者の間で衝撃が走った。
他社の調査がおおむね「自民で単独過半数割れの可能性はあるが、自公で過半数は確保できる情勢」という傾向だったなか、朝日新聞が予測した自公の獲得議席は、中心値で225議席。過半数の233議席に届かなかった。
「朝日新聞は前回の衆院選で、他社が軒並み『自民の単独過半数は微妙』と予測していたなか、『自民が単独過半数確保の勢い』と予測し、その結果通りになりました。
朝日の調査に一目置く人は多く、『自公過半数、微妙』の見出しに、自民党内の雰囲気は重いです」(全国紙政治部記者)
実際に、ある自民陣営関係者も「ウチの議員は、前回は小選挙区で大差をつけて勝てていました。今回は、裏金議員でもないのに情勢調査で大差をつけられ負けています。党が先週末に実施した調査も、その前の週よりも悪い結果になっていて、比例復活も危なそうです。日に日に野党候補に差を広げられています」と嘆く。
石破茂首相は集会で、かつて安倍晋三元首相が使ってきた「悪夢の民主党政権」というフレーズを口にした。
かつて自身が「過去に終わった政権のことを引き合いに出して『自分たちが正しいんだ』というやり方は危ない」と警鐘を鳴らしてきたフレーズを使わなければならないほど、追い込まれている。
対する野党は「今回は有権者の反応も良い。前回は相手に余裕の戦いだと思われていたが、今回は首相も応援に入ってきた。自民陣営の焦りを感じる」(立憲民主党候補者)と勢いづく。
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裏金議員の追加公認、国民民主取り込み画策も…
最終盤に入り石破首相や党幹部は、19、20日に実施した情勢調査をもとに、野党候補と10ポイント差以内の選挙区を重点選挙区としてピックアップした。
「『自民王国』のはずが、安倍元首相の甥、岸信千世氏が立憲の平岡秀夫氏と激戦を繰り広げる山口2区、現職閣僚の坂井学国家公安委員長と立憲の山崎誠氏が競る神奈川5区、維新の地盤である大阪府内の全選挙区などが重点選挙区となったようです。
そして、10ポイント以上の差で負けている選挙区も多数ありますが、そういったところは『切り捨て』られた形です。最終盤は、野党候補と僅差で競り、勝てる可能性がある重点選挙区を中心に、石破首相や党幹部が応援に駆けつけます」(自民党関係者)
そして早くも、自公が過半数割れした後を見据えた話も出てきている。
自公で過半数が取れなかった場合、非公認となっていた裏金議員の当選者も追加公認するとみられているが、現在、小選挙区で優勢なのは西村康稔元経産相や平沢勝栄元復興相など数人にとどまる。
そこで、連立拡大も視野に入ってくるという。
「21日夜には、19、20日に実施した自民党の情勢調査の結果をもとに、石破首相や森山裕幹事長、小泉進次郎選挙対策委員長らが今後の戦略を話し合いましたが、自公で過半数が取れなかった場合に備え、国民民主党を取り込む相談もしたようです」(自民党関係者)