ボタン/チェンジボタンの脚の数で年代がわかる。

1930年代までのヴィンテージに見られる代表的なディテール、チェンジボタン。洗濯の際にボタンで衣類を傷ませないためにボタンが取り外せる機構だが、ボタンに付属する脚の数により、おおまかに年代判別が可能だ。1920年代以前は1本の脚にリングが付いたシンプルなものだが、1920〜’30年代にかけては強度を増すために2本の脚へと改良されていった。

ボタンのボディに1本足で付けられているのは1920年代以前のチェンジボタンによく見られる仕様。おそらく長い期間着用することで強度が低かったことで改良を余儀なくされた。

1920年代以降になると、ボタンのボディに2本足でリングが付くデザインが主流になって強度が増した。といってもその後は金属製の打ち込みボタンが主流になり、チェンジボタン仕様は戦前のカバーオールのなかでもかなり旧い年代のモノだけの特徴になった。

(広告の後にも続きます)

首元/台襟&チンストラップは1940年代までに多く見られる。

1940年代までに見られる、首元に付けられた長方形のストラップをチンストラップ(略してチンスト)と呼ぶ。これは作業時の襟のバタつきを抑え、風や埃が入ったりするのを防ぐために付けられていたディテールだ。台襟を延長してストラップが付けられているが、第二次世界大戦期の物資統制にて簡素化され、その後、台襟無しの首回りのデザインが主流になっていくため、表舞台から姿を消していく。つまりチンストラップ付きやチンストラップが無くても台襟仕様になっているカバーオールは旧い年代のモノである可能性が高い。

チンストラップには使用する生地の量だけでなく、台襟や首元にボタンが必要だったため、よりシンプルなデザインが求められた大量生産時代に突入すると省略されていったディテール。

 

(出典/「Lightning 2024年11月号 Vol.367」)