世界でもっとも閉鎖的な国として知られる北朝鮮。今年2月にはロシア人ツアー客が訪れたが、未だに新型コロナの厳しい入国規制が設けられており、日本人を含む多くの外国人は今も事実上の入国禁止となっている。

 しかし、世界で北朝鮮だけとなっていたコロナの入国規制もようやく緩和の運びとなる模様。中国に本社を置く旅行会社「高麗ツアーズ」と「KTGツアーズ」の2社は、12月から観光客の受け入れを再開するとの情報を自社ホームページ上にアップしたからだ。

「いずれも北朝鮮ツアーを専門に扱っています。英語版のウェブサイトもあり、コロナ前は中国人以外の外国人からの申し込みも多かった旅行会社です」(北朝鮮事情に詳しい大手紙記者)

 この情報がアップされたのは8月14日のこと。政府から正式発表されたわけではないが、何かしらの通達を受けたのは間違いないだろう。ただし、旅行可能なのは故・金正日前総書記の生誕地とされる三池淵に限定。平壌など他の地域の旅行に関しては今後段階的に開放されると見られている。

「ちなみに三池淵は、中国との国境から程近い北朝鮮の聖地・白頭山の麓に位置する“革命の聖地”です。自然豊かな景勝地ですが、金正恩総書記の肝いりでリゾート開発を進めている地域。21年にはスキー場がリニューアルオープンし、さらに空港の整備、観光列車の運行などの計画もあります」(同)

 ただし、この三池淵は、冬場の最低気温がマイナス20度を下回ることも珍しくない北朝鮮の中でも極寒の地域。しかも、北朝鮮なので町に繰り出してアフタースキーを楽しむわけにもいかず、それ以前にそういう場所がないという。

「ただし、北海道と同じパウダースノーで雪質は悪くありません。また、ゲレンデも日本のスキー場に比べると空いているため、純粋にスキーを楽しむ分にはいいと思いますが…」(同)

 北朝鮮パウダースノーが体験できるとは驚きだが、スキー場なら日本にいくらでもある。平壌観光もセットで楽しめるならともかく、そうでなければ日本人にはあまり魅力的な旅行商品ではなさそうだ。

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