画像はAIで生成したイメージ

威嚇なのか、それとも第2次朝鮮戦争への臨戦態勢なのか。

北朝鮮の朝鮮人民軍は「10月9日から韓国への道路と鉄道を遮断、両国を完全に分離する」と発表。この処置を国境地域の「要塞化」と呼んでいたが、同15日になって南北を繋ぐ道路の一部を爆破、南北の緊張が急速に高まっているのだ。

【関連】北朝鮮が大慌て! 米海軍特殊部隊が画策する「金正恩暗殺作戦」がヤバすぎる ほか

在日韓国紙記者が言う。

「6月に韓国軍合同参謀本部は、昨年から北朝鮮側で鉄道のレールの撤去や地雷の埋設などの動きがあると発表していたが、ここにきて北朝鮮は韓国に対する敵意を剥き出しにし始めた。その敵意の表明が、この『南北連結道路』の爆破だとみられているのです」

朝鮮半島における南北間の緊張度合いは、韓国の尹錫悦大統領の就任以来、今最も高まっているのは疑いようがない。

「道路の爆破前に北朝鮮当局は、今回の動きを『戦争を抑制するための自衛的措置』と説明していた。韓国で戦争を想定した軍事演習が実施されたり、9月23日に米国の原子力潜水艦『バーモント』が韓国・釜山市の海軍作戦司令部釜山作戦基地に入港したことへの反発もあったようです」(同)

また、軍事ライターはこう話す。

「英紙フィナンシャル・タイムズは、米軍は今、台湾有事に備えて米海軍特殊部隊シールズ(SEALs)の最精鋭部隊『チーム6』が1年以上にわたり訓練を重ねていると報じています。北朝鮮は、朝鮮半島有事でも同様に斬首作戦(金正恩総書記の暗殺)の訓練をしている部隊があるとみているのです。加えて、北朝鮮外務省によれば、韓国の無人機が10月3日、同9日、同10日と首都・平壌上空を侵犯し、北朝鮮体制を非難するビラを散布したという。正恩氏の妹・金与正朝鮮労働党副部長も再び領空侵犯すれば『惨事が起きる』と報復攻撃を示唆する談話を発表していたが、こうした恐怖心が南北連結道路の爆破に繋がったとみられているのです」

韓国大統領は「金政権の終焉」と発言

この道路の爆破で最も懸念されているのは、北朝鮮が正式に国境を要塞化するようなことになれば、陸に加え海の軍事境界線と称される北方限界線(NLL)での衝突も現実味を帯びてくること。陸と海で南北の軍が衝突すれば、それが第2次朝鮮戦争をも勃発させかねないからだ。

「しかもまずいのは、北朝鮮が敵意剥き出しなのに対して韓国側も決して穏やかに融和を図ろうという姿勢にないことです。10月1日の韓国の『国軍の日』の軍事パレードでは、米戦略爆撃機『B1B』や韓国軍が誇る8トンの弾頭を装着できる弾道ミサイル『玄武5』が登場しました。これは4.5トン級の超大型常用弾頭を装着した北朝鮮の新型戦術弾道ミサイル『火星砲-11タ-4.5』よりも2倍近い破壊力を持つ弾道ミサイルです。韓国軍は『玄武5』が20〜30個あれば平壌を焦土化できると豪語しており、尹大統領も『金正恩政権の終焉』を口にしているほど。さらに、バンカーバスターなので地下に潜る正恩氏さえ暗殺できるとまで言っているのです」(同)

もっとも、ここにきて北朝鮮が韓国に対して敵愾心を見せ始めた理由はこれだけではない。

実は、北朝鮮は10月3日に「アジア太平洋マネーロンダリング対策グループ」(APG)からオブザーバーの資格を剥奪されたことも、その一因であるとみられているのだ。

「APGは1997年に設立されたマネーロンダリング(資金洗浄)対策やテロ資金調達の防止、大量破壊兵器の拡散防止に関する国際基準を実施することを目的とした金融活動作業部会(FATF)のアジア太平洋部門です。北朝鮮は2014年に不法金融と闘う国際的な努力へのコミットメントを示すためにオブザーバーとしてAPGに参加したが、過去6年間もその義務を履行せず今回の資格剥奪に繋がった。しかし、APGから追放されたことでマネーロンダリングや仮想資産の窃盗、ロシアとの違法な金融ネットワークの構築などの違法金融活動を今後、より加速させるのではと懸念されている。この結びつきが『韓国憎し』を加速させたともみられているのです」(外交関係者)

(広告の後にも続きます)

ウクライナにも軍を派遣

今では世界が注目しているが、ロシアと北朝鮮の緊密な関係は世界平和を揺るがしかねない。

というのも、ウクライナの英字紙キーウ・ポストは10月4日、ウクライナ軍のミサイル攻撃で同国東部のドネツク州で北朝鮮軍の士官6人が死亡したと報じた。

韓国の金竜顕国防相も同8日の国会国防委員会で「事実である可能性が高い」との見方を示したほどなのだ。

「ロシアと北朝鮮の軍事協力である『包括的戦略パートナーシップ条約』が弾道ミサイルや砲弾などの提供にとどまらず、軍人の派遣にまで拡大している可能性が騒がれだしているわけです。今ではロシア軍が北朝鮮人による特別部隊を編成しているともっぱらで、その兵士の数は3000人とも1万人とも言われています」(同)

金国防相は、北朝鮮がロシア側に正規軍を派遣する可能性についても「ロシアと北朝鮮が軍事同盟に近い条約を締結しているため、正規軍派遣の可能性は極めて高いとみている」との認識を示している。

ウクライナ戦線への士官派遣、要塞化、無人機警告…全面戦争はカウントダウンを迎えているとも言えるのだ。

「週刊実話」10月31日号より一部内容を変更