「タケは孤立無援で、大嫌いな…」久保建英のベンチスタートをソシエダ番記者はどう見た?“ローテーション見習い中”の指揮官の采配に見解【現地発】

 レアル・ソシエダのホキン・アペリベイ会長が、「新しい本」という言葉で定義したが、それはサッカー界ではごくありふれた戦略だ。しかしローテーションを積極的に採用して、コパ・デル・レイとヨーロッパリーグ(EL)が佳境を迎える2月と3月にピークを持っていくというのは、ことソシエダにおいては新しいプランだった。

 主力の疲労蓄積や故障を回避するためには必要不可欠なことだが、イマノル・アルグアシル監督にとっては未知の分野であり、少しでも早くそのコツを掴もうと悪戦苦闘している。

 そんななか、ラ・リーガではアウェーでジローナを1-0で撃破し、一桁順位を狙えるところまで来た一方で、2試合を終えて未勝利(1分け1敗)のELは、早くも緊急事態に追い込まれている。

 しかし、現実はアルグアシルが新しいシナリオに適応するのを助けてはくれない。ジローナ戦も憎き“FIFAウイルス”に汚染された中で臨むしかなかった。いや、これはシーズンが始まってからずっと起こっていたことだ。
 
 振り返ってみよう。7月14日に欧州王者となったアレックス・レミロとミケル・オジャルサバルは、スビエタ(練習場)でのわずか2週間の練習を経て8月18日にラージョ・バジェカーノとの開幕戦を迎えた。ホン・パチェコとベニャト・トゥリエンテスは8月9日にパリ五輪で金メダルを獲得した。ハビ・ロペスは、7月21日にアラベスからやって来た。

 それでもまだ飽き足らないかのように、ラ・リーガの開幕を前後してロビン・ル・ノルマンとミケル・メリーノの主力2人が流出。移籍市場最終日にナイフ・アゲルドとオーリ・オスカールソンが駆け込みで加入した。

 夏が終わった後も、9月シリーズに11人、10月シリーズに14人と、インターナショナルブレイクを迎えるたびに、大半の選手が世界中に散らばって行った。アルグアシル監督は、このようなイレギュラーな状況下で例年以上に入れ替わりが多かったチームを再構築しなければならなかったわけだ。

 今回は、タケ・クボ(久保建英)がローテーションの対象となった。移動距離を考えれば、自然なことだった。その一方でアルグアシル監督は、オスカールソンやオジャルサバルといったそれぞれ代表チームで輝きを放った選手に敬意を表わすとともに、ブレイク中スビエタで汗を流し続けたアンデル・バレネチェアの頑張りに報いた。
 
 ソシエダが試合を重ねるごとに、成長していることに異論の余地はない。チャンピオンズリーグ(CL)に参戦している強豪のホームで1-0とリードして、前半を折り返した。

 アルグアシル監督の作戦は、後半にタケを投入して決着をつけることだったようだ。しかし、65分に出番が回ってきたとき、ソシエダは最近しばしば見られる欠点でもあるが、追加点を狙うよりも試合を落ち着かせて逃げ切りモードに入っていた。

 おかげでタケはドリブル突破を試みても、孤立無援の状況で、大嫌いなバックパスを選択せざるを得ないシーンが続いた。そんななか、78分とロスタイムに2度長い距離をドリブルで駆け上がり見せ場を作った。しかし前者はゴールラインすれすれの位置からのクロスがクリアされ右CKを獲得するのが精一杯。後者はクロス気味のシュートがサイドネットに当たった。
【動画】久保が自陣からのロングドリブルで持ち込んでシュート
 もっとも、勝点3を獲得するという最大の目標は達成した。しかも勝利がマストのマッカビ・テルアビブとのEL3戦目を見据え、タケのような攻撃の大黒柱を後半途中まで温存することもできた。“ローテーション見習い中”のアルグアシル監督のプランは奏功したと言えるだろう。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸

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