株式市場の世界では、数々の経験則が生きており、「選挙時は買い」もその一つ。1969年以降、衆院選は投票日までは必ず株価が上がっていたからだが、それが現在、崩れつつある。
「10月8日から21日まで、日経平均のチャートで終値が始値を下回るというマイナス取り引きが9日連続で記録しているからです。これだけの前日比割れ継続は、民主党政権下の2012年5月に記録した“13日連続”以来という12年ぶりの異常事態。実際の株価も、選挙公示日の15日の3万9910円を天井に、以後はずっと下げている状況で、23日も一時400円安を付けるなど、結局は前日より約300円安の3万8104円。ともすれば3万8000円台を割りそうな安値で終わっています」(経済ジャーナリスト)
50年以上の“実績”が崩れているわけだから、株式市場で騒ぎになるのも当然の話。中には「政権交代のフラグか」などといった声も、個人投資家が集うSNSでは上がっている。
周辺環境を見れば、22日には米半導体大手エヌビディアが史上最高値を記録し、相変わらずの株価の牽引役ぶり。アメリカのS&Pの上昇にストップがかかったりもしたが、大きく崩れているわけではない。となるとやはり、日本政治の先行き不透明感が主な原因と見るべきだろう。
「ちょうど連続マイナスが継続した頃、報道各社の選挙情勢調査の結果が多く出され、おおむね自公過半数がやっとのことといったものでした。逆にここまで逆風なら揺り戻しで自民への投票があるかもしれないという見方がある一方、この時とばかりに普段は選挙に行かない立憲民主党寄りの無党派層が投票に行くなど、投票率が上がれば自民不利とも予想され、やはり今回の選挙は結果が出るまで分かりません」(全国紙記者)
こうなると当然SNS上では、経済オンチと言われる石破首相より岸田前首相のままでよかったのではないか、はたまた派閥を解消したから政権基盤の弱い石破政権が誕生してしまったなどといった声も出てくる。ただ、本を正せば安倍派を中心とした裏金問題に端を発する政治不信が株式市場の経験則まで無効化させ株価を下げているのだから、その罪はいかに大きいかが分かるというもの。いずれにせよ、何らかの「フラグ」が立っていると考えるのがよさそうだ。
(猫間滋)