“男性も注意”貧血は女性に限った病気ではない!産業保健師が解説”放置が危険”な4つの種類と効果的な予防法

貧血の予防

貧血の原因で最も多い「鉄欠乏性貧血」の予防についてご説明します。鉄欠乏性貧血の予防のためには、食事からしっかりと鉄など必要な栄養素をとることが大切です。そのため、動物性食品・植物性食品をバランス良く食べることがポイントです。

鉄の1日の摂取推奨量
日本人の18~64歳が1日の食事から鉄を摂取する量は、「男性:7.5mg、女性:月経のない女性6.5mg、月経のある女性:10.5~11.0mg)」が推奨されています。

貧血を予防するためには
まず、毎日失われる鉄を食事からしっかりとることが必要になります。主な食品に含まれる鉄量は【以下図1】を参考にしてください。

【図1 主な食品の目安量に含まれる鉄量】
引用元:厚生労働省eヘルスネット荒井 裕介氏執筆(2020年10月1日更新)

鉄の他にも、ヘモグロビンなどの材料になる「たんぱく質」、鉄の吸収を高める「ビタミンC」の摂取も大切です。(食品例:鉄もたんぱく質も含む牛肉やレバー、カツオなどの赤身の魚、あさりなど。ビタミンCが多い緑黄色野菜・果物など。)

赤血球が作られるときには「葉酸(ビタミンの1種)」や「ビタミンB12」などが必要です。(食品例:葉酸の多いレバーやほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー、納豆など。ビタミンB12の多いレバー、魚介類、チーズなど。)

このほか、食生活での摂取が難しい場合には、ミネラルやビタミンの含有量を強化した食品(鉄であれば牛乳・乳製品、飲料など)も販売されていますので、表示をよく見てご利用を検討するのも一つです。

鉄は胃酸が分泌されると吸収されやすくなるので「柑橘類」や「酢」などの酸っぱいものを食べたり、よく噛んで食べたりして胃酸の分泌を促すと、鉄の吸収率が高まることが期待できます。

最近では、貧血の症状を自覚して病院に行くよりも、健康診断の血液検査で指摘されて受診し、貧血が見つかるケースが増えています。健康診断の結果を確認し、疲れやすさや頭痛、息切れなどの症状がなくても、毎日の食事で動物性・植物性食品をバランスよく摂ることが大切です。

「無理なダイエットをしていないか」、「朝食を抜いていないか」など食生活全般を振り返っていただき、特に思い当たることがない場合は、速やかに医療機関で診察・検査を受けるようにしましょう。

解説/取材協力
本田和樹
株式会社エムステージ産業保健事業部 保健師業務マネージャー
看護師として急性期精神病院で5年間勤務したのち、2020年エムステージ入社。産業保健師の業務委託事業立ち上げに携わり、現在は複数の企業で保健師として実務をおこなう。
労働と精神衛生についての啓蒙活動、寄稿などもおこなっている。
取得資格:保健師、看護師、養護教諭一種、第一種衛生管理者等

株式会社エムステージ『産業保健トータルサポート』
https://sangyohokensupport.jp/

取材/文 石田あかね