現在のLPGAコミッショナーは、モリー・マクー・サマーン氏。年間33試合超の試合を取り仕切り、下部ツアーのエプソンツアーも代表する責任者だ。
年間の賞金総額が1億2000万ドル(200億円弱)に近付いており、規模を拡大し続けている。
これぞトップのお手本!スピーチで会場を沸かすモリー氏
そんな組織のトップであるサマーン氏だが、試合会場でもよく姿を見かける話しやすい女性だ。選手や関係者からも“サマーン氏”ではなく、“モリー”とファースト・ネームで呼ばれるのが普通なくらい、気さくな雰囲気を醸し出す。
エプソンツアーの最終戦の最終日、狭いメディアルームで作業をしていると、そばのソファーで一生懸命にパソコンに向かう女性が目に入った。それがモリーさん本人だった。
何かの原稿を書いている様子を察して「もしかして、表彰式のスピーチを書いているんですか?」と尋ねてみると、「そうなんです。ほとんど書き終わっているんですが、最後の校正をしています。チェックしておかないとね」と言い、その場の撮影にもOKしてくれた。
そのすぐ後に始まった表彰式では、日本から駆けつけたエプソンの執行役員・深石氏に続いて登壇。
「今日、ツアーカードを獲得した選手のみなさん、シード獲得はゴールではなく、これからさらに研鑽を積まなければならないことを覚悟してください」と厳しい言葉を投げかけ、表彰式の会場は緊張感に包まれた。しかし、その直後に「でも、今夜ぐらいは自分を褒めて、お祝いしながらリラックスしてもいいんじゃないでしょうかね」と続けて場を和ませるなど、独自の話術で場を盛り上げた。
やはり、用意された原稿を読み上げるのではなく、自分の言葉で語るからこそ、心に伝わるスピーチになるのだと感心した。
ちなみに、エプソンの深石氏も英語でスピーチを行った。表彰の際には、握手かハグかを迷っている選手に深石氏がハグで応えると、その後の選手も全てハグにするというパターンが生まれ、会場には笑いが沸き起こった。用意されたものを行うだけではなく、自然と現れるアドリブには好感が持たれる。これがトップのお手本なのではなだろうか。
こんなトップがいる米LPGAは、今後もさらに発展していきそうだ。
いかがでしたか? 今後の米LPGAの発展に期待が高まります。
フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。
取材・写真=田辺安啓
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE