萩生田氏を猛批判する元自民議員
有田陣営にも目を引く光景がある。
「かつて八王子から選出された自民党の元衆議院議員の小林多門氏が、有田氏を強力に応援しているのです」(前出の社会部記者)
マイクを持つ小林氏は、「体調を崩したので萩生田光一君にバトンタッチしました。これが私の政治活動の、人生の大失敗でした。萩生田君は安倍派に入って悪くなった。裏金を作るようになったんです」と萩生田氏を猛批判。
21日には有田氏を支援する共産党の穀田恵二前衆議院議員や社民党の服部良一幹事長と一緒に演説会で並び、「私は知人500人に電話をかけて有田さんの応援を頼んだ。日本をよくするには萩生田君を落とさなければならないんです」とぶち上げた。
今回衆院選で他の野党との共闘を拒否したれいわ新選組からも、八王子では「勝手連」が生まれ、有田氏の選挙運動に合流している。
「自公」対「立共社」のガチンコ勝負の行方を左右しそうなのが他の野党票だが、これも東京24区は複雑な様相だ。
維新からは、もともと国民民主党がこの選挙区で立てる準備をしていた元都議の佐藤由美氏が出馬した。
佐藤氏は今年4月、国民民主党を昨秋飛び出した前原誠司氏らが結成した「教育無償化を実現する会」から立候補すると表明し、国民民主党から除名されている。
佐藤氏はその後、前原氏らとともに維新に合流し、そのまま24区から立候補した。
「佐藤氏は同じ京大出身の前原氏に一本釣りされたようです。ところが松井氏が萩生田氏を応援したことで維新がここを取る気がないことがはっきりした。
松井氏は『僕は今、一般人』と主張していますが、誰もそうは見ない。維新が候補を立てたのは萩生田氏の批判票を分散させる狙いだとの憶測まで飛んでいます。佐藤氏には気の毒な面もある」(地元政界関係者)
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佐藤氏は「肌実感のほうがずっといいです」
佐藤氏は「私は4年間地域を回って生活者の声を聞いてきました。世論調査で出ている私の数字(支持率)よりは、(街頭での)肌実感のほうがずっといいですよ」と手ごたえを強調する。
松井氏の萩生田氏応援には「表向きは友人としてじゃないですか。維新と安倍派とか菅(義偉)さんとかの関係性の中で、私が維新から出ることに関して何かしら話し合いをしたんじゃないですか。そのあたりは、私は事情は分からないですね」と話す。
一方、佐藤氏を取られた国民民主は「玉木代表がカチンときて」(政界筋)、弁護士の浦川祐輔氏を公認に立てた。「野党は反萩生田で一本化すべきだとの声もありましたが、最初からできもしない話だった」と野党関係者は話す。
浦川氏は「生活費を党が出したのにそれを持ち逃げした。党としては許しがたい」と佐藤氏を非難。
「裏金や統一教会問題は大事ですが、それを追及して誰かを落として、ということでは八王子や国が前に進むわけではない。この選挙では(有権者には)自分の手取りがどれだけ増えるかという方が重要」と主張し、裏金追及を前に出す有田氏も候補者として「許しがたい」と攻撃した。
地元の自民党党員は、「裏金で自民党の非公認となった候補者の党支部に2000万円が配られていたことを23日に共産党機関紙『しんぶん赤旗』が暴露し、また情勢が変わるかもしれません。非公認の代表格は萩生田さんなので、印象が悪くなって離れた票が維新や国民にいくかも。野党乱立もどちらに有利になるのか分かりません」と話す。
東京24区では他に参政党と無所属の立候補者がいる。今の政界のさまざまな様相を集めて煮詰めたような選挙の行方は最後まで分からない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班