費用が安く距離が近い、短い日程でも楽しめる“安近短”と三拍子揃った旅行先として人気の台湾。24年上半期に日本人旅行者が訪れた場所としては韓国、米国に次いで多く、東京・大阪以外の地方都市からも直行便が多数就航している。
だが、以前から懸念されているのが中国による台湾侵攻。いつ起きてもおかしくないとも言われており、10月14日には中国軍が台湾を囲むように艦艇と戦闘機を配置して大規模な軍事演習を行っている。
今回のように演習であればいいが、ウクライナ戦争も発端はロシア軍による軍事侵攻だ。それを考えれば、台湾旅行中に中国が侵攻してくる可能性もゼロではない。
ちなみに中国の人民解放軍が台湾に侵攻してきた場合、どのような事態が想定されるのか。東アジア情勢に詳しい軍事ジャーナリストは次のように分析する。
「まず台湾を囲むように海上と空域が封鎖されます。そのため、台北にある桃園、松山の2つの国際空港をはじめ、台湾全土の空港の民間機はすべて欠航となり、国外脱出は困難な状況に陥ります」
夜間や早朝であればホテルに留まり、ネットなどで情報収集を行いつつ宿側の指示に従えばいい。台湾では大型ホテルの中には自前のシェルターを用意しているところもあり、仮になかったとしても必要に応じてスタッフが近隣のシェルターに誘導してくれるという。
ただし、問題は観光に出ている日中に中国の軍事侵攻が始まった場合。添乗員同行のツアーなら指示に従えばいいが、台湾ではフリープランや個人旅行の人が圧倒的に多い。
「台北都市圏と高雄だと地下鉄駅や地下街がシェルターとしての役割も兼ねており、緊急時の避難先になります。そうした場所が近くになくても避難先が存在し、案内板で表示されています。見当たらない時は、地元の方に尋ねれば教えてくれるはずです」(同)
むやみに民間人に攻撃を加えるとは思いたくないが、ウクライナやガザ地区、レバノンでも一般人に多数の犠牲者が出ているのも事実。パニックを起こさないためにも万が一の場合に備え、こうした情報を頭の片隅に入れておいたほうがよさそうだ。
※画像は台湾の避難用シェルターへの案内図