警視庁特殊詐欺対策本部の公式Xより

8月以降、闇バイトを実行役にした凶悪事件が首都圏で多発。関東一帯を恐怖に陥れていたが、ここにきて逮捕者の供述などから事件の全容が徐々に明らかになり始めている。

10月20日に強盗殺人の疑いで神奈川県警に逮捕されたのは、自称・個人事業主の宝田真月容疑者(22)。同容疑者は、同じく闇バイトで応募してきた仲間と10月15日に神奈川県横浜市青葉区の後藤寛治さん(75)宅に侵入、暴行を加え後藤さんを殺害して現金20万円を奪ったことが判明している。

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「供述によれば、宝田は税金の滞納が数十万円あり、短期間で稼げるアルバイトをSNSで探していたという。ところが、ホワイト案件だと思っていた仕事は闇バイトで、指示役側に身分証などを送信してしまったため、仕返しや家族へ危害を加えられるのが怖くて抜け出せなかったというのです」(社会部記者)

また、続く23日には千葉県警が保育士の前田祐一郎(25)と会社員の河合優介(31)の両容疑者を住居侵入容疑で逮捕したと発表した。

2人は14日の深夜、千葉県鎌ケ谷市の女性(86)宅に侵入。1階の掃き出し窓が割れる音に気づいた家族が大声を出したため何も盗まず逃走したが、闇バイトに応募し、秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」で指示役から連絡を受けながら事件に関わったとみられている。

さらに、これらより前の10月7日には埼玉県所沢市で起きた緊縛強盗事件で公開指名手配されていた男が、新潟県内で身柄を確保され逮捕された。

男は新潟市内で起きた特殊詐欺事件に関与していた疑いも持たれている。

強盗致傷などの疑いで逮捕されたのは、住所・職業不詳の森田梨公哉容疑者(24)。

「森田容疑者は7日午後、新潟市内で特殊詐欺事件に受け子として関与しタクシーで移動していた際、事件を捜査していた新潟県警の警察官に職務質問され、その後、逮捕されました」(捜査関係者)

動機は「生活費が欲しくて…」

森田容疑者は1日未明、仲間3人と共謀して所沢市の住宅に押し入り、80代の高齢夫婦を粘着テープで縛った上、刃物のようなもので切りつけてけがをさせ、現金約8万円を奪った疑いが持たれている。

捜査関係者によると、森田容疑者は「現場に(別の事件の)報酬を受け取る約束で行ったが、強盗を指示され断れなかった」と供述。前日の9月30日に東京・国分寺市で起きた事件の報酬だったとみられ、「生活費が欲しくてやった」とも話しているという。

この国分寺市の事件では住宅に複数の男が押し入り、一人暮らしの60代女性を粘着テープで縛ってハンマーのようなもので顔を殴るなど暴行を働いた。

さらに室内が激しく荒らされ、現金数百万円が奪われているが、現場付近の防犯カメラには森田容疑者とみられる男が映っているものも確認されているという。

捜査関係者がこう話す。

「今では逮捕された容疑者の供述などから闇バイトの募集内容も解明されつつある。『深夜に人を運んでください。報酬5万円』とか『会社の持ち逃げされた金を回収する仕事』『引越し即日払い10万円』『ホワイト高額案件あります』などなど、さまざまな甘言で事件の実行役に引きずり込もうとしていたようです」

現在、指示役は闇の中だが、事件の全容解明はできるのか。

「週刊実話」10月31日号より一部内容を変更