日本人観光客はインバウンド客よりマナーが悪かった? 「備品盗難」「泥酔」「部屋汚し」…国の補助金で客層が悪化?

コロナ禍で導入された旅行業界の支援キャンペーン「Go Toトラベル」。すでに懐かしのワードとなっているが、この言葉が再びネット上をにぎわせている。助成金による割引で旅行しやすくなった一方で、マナーの悪い客が続出したと指摘されているが、それは本当なのか? また、昨今たびたび問題視されるインバウンド客との違いとは? 専門家に聞いてみた。

“迷惑客”はインバウンドより「Go Toトラベル」のほうが酷かった?

10月12日、「日本最大級の富裕層向けWEBメディア」をうたう『THE GOLD ONLINE』が、消費者行動に関する書籍からの抜粋として、GoToトラベルの実態についての記事を配信した。

同記事内では、国からの助成による最大半額という割引を受け、日頃は高級ホテルを利用できない宿泊客が殺到したことが振り返られている。

また、これによってドライヤーやバスローブなどの備品が盗まれるほか、泥酔して暴れる、子どもが廊下を駆け回るなど、マナーの悪い宿泊客が増えたことを指摘。

さらには些細なことでクレームを入れたり、理不尽な要求をしたりするケースが相次ぐなど、トラブルが多発していたことも紹介されていた。

記事によると、こうした実態は観光業界では「Go Toトラベルの客は、インバウンドの客よりも悪かった」と言われていたという。近年、外国人観光客のマナーがたびたび問題視されているが、それを上回るとするならば、どれだけ無法地帯だったかが窺えるだろう。

これに対し、SNSでは《“日本下げ”したい人たちの仕業じゃないの?》《外国人批判ばかりしていて、自分たちがまったくできてない日本人も増えたね》《日本人になりすますな!》《日本人にも品位の低い人や常識が通じない人はいる》などの声が続出。

冷静な人から、日本人による行為だと認めたくない人まで、まさに侃々諤々の議論に発展している。

実際のところ、Go Toトラベル時の日本人や現在の訪日外国人客は、どのような宿泊マナーなのか。

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Go Toトラベル時は「備品の一切合切を持ち帰る」旅行客も

“旅慣れ”という言葉を使いながら実態を語ってくれたのは、東京のホテル業界発展を目的に設立され、200以上のホテルが加盟する「東京ホテル会」の代表・髙部彦二氏だ。

「あまり言いたくないのですが……Go Toトラベルは補助金が出て安く宿泊施設に泊まれたので、“旅慣れ”していないお客様もたくさん来たんです。
そのなかには電気ケトルやグラス、タオルなど、備品の一切合切を持って帰った人もいて、被害金額がウン十万円という驚きのケースもありました。まぁ、これは犯罪として粛々と対応したのですが」

こうした迷惑客が問題となったことで、国会では旅館業法の改正議論が進み、昨年12月から全国で改正旅館業法が施行された。

これにより現在では、たとえば泥酔して従業員に何度も介抱を依頼するなど、客が過剰なサービスを繰り返し求めた場合、旅館やホテルは宿泊を拒否できるようになった。

「Go Toトラベル実施中は、私どもとしてはそれでご飯を食べているということで、(客の)マナーについてはもうあきらめていたんですよ。そもそも日本では、三波春夫の『お客様は神様です』が誤解されて伝わっていて……。

でも、最近だと『カスハラ』といった言葉もありますし、従業員のほうが大切という風潮に変わってきています。マナーの悪い客に対する法律ができたのはとても助かりますし、ずっと訴えかけてきてよかったと思います」(同前)