Google先生にやられた。もうGoogleなんて信じないし、「ググる」なんて死語かもしれない。
古くから数々の詐欺師や詐欺サイトと対峙してきた「迷惑メール評論家」の私でさえ、つい先日、Googleの検索結果によって詐欺られた。
その事実に気づいた時、「ググる」は「詐欺る」と同意語であるとさえ思った。本当に危険なことだと思うので、証拠のスクショ付きで説明したい。
まず大前提として、詐欺にあったり騙されたりする時は、決まって “冷静でない” ことが挙げられる。その時の私も冷静ではなく、焦っていた。
カンボジアに行く用事があったのに、ビザを取ることをド忘れしていたのだ。気づいたのは出発数日前の2024年10月初旬。やばい、間に合うかな……。
すぐさまGoogleで「カンボジア ビザ」と検索。すると出てきたのが、
上記の検索結果だった。
なお、今現在(2024年10月24日)の検索結果は、上記の検索結果とは少し違うが、日によって今回の私のケースのようなパターンが出てくるので油断しないでほしい。
よくよく見れば、おかしなところはたくさんある。まず、サイトの説明の日本語が、なんか変。普通っぽいんだけど、な〜んか変。
もうひとつは「スポンサー」という文字が書いてあること。
これはすなわち「このサイトがGoogleにお金を払って、契約期間中、検索結果の上位に表示されている状態(すなわち広告であること)」を意味している。
ここ本当に重要。“検索結果の「スポンサー」には要注意” と声を大にして言いたい。
ちなみにGoogleという世界的企業を雑に説明するなら、この広告枠の販売で稼いでいる “広告屋” であり、なかでも人気なのが「検索結果の上位枠」であると聞く。
それらの違和感に気づかなかった “焦りモードの私” は、そのままサイトに飛び込んだ。一刻も早くビザを取得しなければ……。
名前などの個人情報を入れ、
入国の日時や経路やポイントも入力。
そしてクレジットカード情報を入れて支払い……のはずが、なぜか「10分以内に済ませろ」とのカウントダウンが表示されている。
焦っている私は、さらに焦った。急いでクレジットカード情報を入力した。
しかし、なぜか「このクレジットカードは使えません。あらためて確認して入力してください」的なメッセージが出て受け付けてくれない。
え、なんで? 正しく入れたのに、なぜ弾かれるの?
再度入力しても結果は同じ。もう一度、よ〜く確認してから入力してもダメ。5回やり直してもダメ。しかもカウントダウンはそのまま進むので、なおさら焦る。
もしやこれはこちらのVISAカードに問題があるのでは……と思い、今度は別のJCBカードを入力するも、やはりダメ。おかしいな……と、ここで、カード会社からメールが届いた。
そこには
「このたび、第三者による不正利用の可能性を検知したため、本メール配信直前のご利用を停止いたしました。お客さまご自身のご利用であるかをご確認くださいますようお願い申しあげます。」
と書いてあった。
ここでようやく私は気がついた。
これ、フィッシング詐欺そのものじゃないか! と。
奴らはいつも「間違ってます」と言って、様々なクレジットカード情報を入力させるのだ。なぜなら1つでも多くのクレカ情報が欲しいからだ。
それに気づかず私は何度も何度もVISAカードの情報を入力し、挙げ句の果てにJCBカードの情報までをも入れてしまった。
とりあえず「第三者による不正利用の可能性を検知した」と報告してきたカード会社に電話で連絡。事情を話すと、すぐさまカードの取引をストップしてくれた。
なので金銭的な損失は運良くゼロなのだが、カードの番号を変える必要があるという。め、めんどくせえ……。また、この電話を切った直後に利用停止するので、カードもすぐに破棄するよう言われた。
なお、どんな取り引きがあったのか聞いてみると、まだ直後なので詳細はわからないが、海外らしき企業から109ドルの請求があったという。
本当のカンボジアビザの価格は36ドル。もうこの時点で明らかに詐欺である。
ちなみに、VISAの次に入れてしまったJCBのほうは不正利用の可能性を検知しておらず、利用状況などを確認しても怪しい取引はゼロ。そもそも海外の詐欺サイトがJCBに対応していなかったもようである。
海外に強いVISAだからアッサリやられて、VISAに比べると海外に弱いJCBだから助かったという可能性はある。逆にJCBバンザイ!※カード情報はしっかり抜かれているが。
幸い、被害は出なかった(?)ので、めでたしめでたし……とはならず、話はここで終わらない。
VISAのカードはすでに利用停止、新たなカードを私に発送済みだというが、私の行動が迅速すぎた関係で、少し遅れてVISAのカード会社からスマホ宛にSMSが届いた。
やはり「第三者による不正利用の可能性を検知した」ので、その詳細をあらためて確認してほしいとのこと。そしてカード会社のサイトに飛んで確認してみると……なんと!
カード情報が通らないので何度も何度も入れ直した回数分、きっちりと請求がかかっていたのだ。
謎の高額ビザ代金109ドルを5回ぶん。つまり545ドルの請求。
現在のレートで日本円にすると82,914円!
もしも怪しい点に何も気づかず、さらに「第三者による不正利用の可能性を検知した」とかやってくれないカード会社だったら、そのまま8万円以上をシレっと引き落とされていたのである。
「間違ってる」と言い「再入力」させ、その回数ぶん請求してくるとか、私が過去に対峙してきた数々のフィッシングサイトより確実に悪質になっている。
ちなみにその後も数日間、カンボジアビザの詐欺サイトから「まだ支払いが終わっていないから、申請を完了させよ」的なメールが何通も届いた。
違和感に気づかなかったら、また上記のサイトに飛んで、何度も何度もクレカ情報を入力し、そのぶんの請求が来ることだろう。このしつこさもまた、フィッシングサイトそのもの。
こんな明らかな詐欺サイトを検索結果の最上位に表示するとか、Googleも詐欺に加担しているというか、Google自体が詐欺サイトといっても過言ではない。
やってることは、繁華街の悪質ぼったくり店に誘導する客引きそのもの。
どんな取り引き相手なのかしっかりと調査することもせず、金さえもらえたら極悪詐欺サイトを「検索結果の1番上」に表示させるとか、インターネット界の事実上リーダーであり、世界的一流企業がやることなのかと強く問いたい。
もはや「ググる」なんて死語かもしれない。もう何でも教えてくれる「Google先生」なんていないのかもしれない。
そこにいるのは、金のためなら平気な顔して詐欺師に人を売るブローカー。その仕事っぷりを見込まれて、その界隈では「先生」と呼ばれているのかもしれないが。
執筆:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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