女子プロのセッティングについてギアマニアの今田駿作が解説するのが本企画。今回は原英莉花プロのクラブセッティングをご紹介します。
今田氏によるとドライバーやフェアウェイウッドのカチャカチャに特徴があるらしく…。
※セッティングの情報は2024年9月の「第51回ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント」時のものになります。
原英莉花プロのウッドのカチャカチャに注目!
ドライバー:タイトリスト GT2 ドライバー(9度)
FW:タイトリスト GT2 フェアウェイウッド(3番13.5度)、キャロウェイゴルフ パラダイム Ai SMOKE ◆◆◆ (18度)
UT:キャロウェイゴルフ APEX UW(21度)
アイアン:タイトリスト T150 アイアン(6番~PW)
ウェッジ:ゾディア プロトタイプ(49度、55度、58度)
パター:ホワイト・ホット OG パター ロッシー
原英莉花プロのセッテイングを見て、まず気になったのはドライバーとフェアウェイウッドのネック調整ポジション(いわゆるカチャカチャの調整機能)です。彼女はこのカチャカチャをうまく利用していますね。
ドライバーはB1(0.75°フラット)で設定しています。B1ポジションは、標準よりもライ角がフラットになっているためつかまりを抑える効果があり、パワーヒッターの原プロとしては左のミスを避ける意図が合ったのでしょう。またこのポジションなら、ライ角やアドレス時のヘッドの見え方に影響が出ることはありません。
一方で、13.5°のフェアウェイウッドのネックポジションはC1(0.75°フラット、-0.75°ロフト)となっています。こちらもライ角がフラットになっていて左のミスを避けつつも、実質ロフト角12°台となっていて「ミニドラ」的な使い方もできるようなセッティングになっています。ロフトを立たせた分、ソール部のバックフェース側の引っ掛かりも少なくなり、インパクト時の抜けが良くなります。
おそらく原プロは、フェアウェイウッドを「打ち出し角度を稼ぎやすい優しい道具」としていれているのではなく、「ティーショットでも2打目地点でも球をとにかく前に飛ばすための道具」として入れていますね。他の女子プロとは異彩を放っている部分です。
彼女は、カチャカチャによってドライバーでの左のミスを防いだり、フェアウェイウッドでさらに飛距離を稼げるようにしたり
ただカチャカチャは、アマチュアにとっては注意が必要です。球がつかまらないからドローアングルにしたり、球が上がりすぎるからロフトを立てたりすることは簡単ですが、変わるのはロフトやライの角度だけではありません。ソール部のあたり方や、アドレス時のヘッドの「顔」の印象も一変します。それが結果的に求めた性能と逆の成果を引き出してしまう可能性があります。安易なライ&ロフト調整はせずに好不調はあくまで練習で解消して、専門知識のあるインストラクターやクラフトマンに相談することをおすすめします。
いかがでしたか? 次は原英莉花プロのアイアンとウェッジのセッティングを解説するので、お楽しみに。
原 英莉花
●はら・えりか/1999年生まれ、神奈川県出身。173cm。女子としては長身で、ダイナミックなスイングから繰り出されるショットが武器。NIPPON EXPRESS ホールディングス所属。
解説=今田駿作
●いまだ・しゅんさく/超がつくゴルフマニアで、新旧クラブの知識が豊富。クラブ収集家としての一面もあり、自宅には1万本を超えるクラブと工房をもっている。