LED表示とFREの使用
露出計の表示はニコンF2フォトミックSと同じくLEDを使用しているが、フォトミックSが市販のLEDを使っていたのに対して、フォトミックSBでは専用のLEDを開発した。フォトミックSでは露出オーバーを示すLEDと露出アンダーを示すLEDの2個のLEDを用い、それぞれ”+”と”-”の文字を背後から照明してファインダー内に見せる形式だった。フォトミックSBでは3個の発光部を1つのパッケージに封入したLEDを用い、LED自身が”+”、”〇”、”-”の文字の形に発光するものになり、隣り合う2個の同時点灯も含めて5段階の露出表示としたのだ。つまり1Ev以上オーバーなら”+”のみ点灯、適正と1Evオーバーの間なら”+”と”〇”の2つのLEDが点灯、適正露出の場合は”〇”のみが点灯、適正と1Evアンダーの間なら”〇”と”-”の2つが点灯、1Ev以上アンダーなら”-”のみが点灯と、都合 5段階の露出状態を3個のLEDで表示するわけだ。
この表示方法は、その後ニコンFM、FM2、ニューFM2へと受け継がれた。実を言うと、このニコンF2フォトミックSBとニコンFMとでは同じICチップを使っているのである。
露出計回路へのシャッター速度や絞り値、フィルム感度の導入にはニコマートELで開発したFRE(Functional Resistor Element)を使っている。ただ、回路の工夫によりニコマートELのように広範囲に抵抗値が変化する必要がなくなり、FREの抵抗体パターンもシンプルなものになっている。
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アイピースシャッター
ニコンとしては初めてこのカメラにアイピースシャッターが搭載された。TTL測光なのでファインダー接眼部からの逆入射光で測光結果に誤差が出ることがあるので、それを防ぐためのものだ。通常露出を合わせるときにはファインダー内の表示を見ながら行い、ファインダーを覗く目で逆入射光がブロックされるので問題ない。このアイピースシャッターが効果を発揮するのは、むしろEEコントロールユニットを装着して自動露出としたときであろう。例えば三脚に据えてファインダーから目を離して撮影する際など、往々にして逆入射光をブロックする必要が生じるのだ。なお、EEコントロールユニットは、フォトミックS用のものがそのまま使えた。
ただ、前述のように表示の3個のLEDを1つのパッケージにまとめた関係で、フォトミックSファインダーのように同じLEDをカメラ上面から観察できるようにすることができなくなった。そこでこのフォトミックSBでは外部表示用のLEDを1個追加し、アイピースシャッターを閉じたときは露出が適正の場合のみこのLEDが光るようにした。