ニコン F2フォトミックSB Vol.20 [ニコンの系譜]

エレクトロニクスをフルに活用した最高級機

前機種のニコンF2フォトミックSは、ライバルのキヤノンF-1に対抗するために急いで開発した感があったが、このニコンF2フォトミックSBはSPD、オペアンプを活用したモノリシックIC、特注のLED、独自開発のFREと、当時の最先端のエレクトロニクスをフルに活用して高性能化し、かつコンパクト化を実現したニコンの最高級機となった。しかし、その活躍期間は短かった。1977年のAi化という一大事業のため、発売後わずか9か月で次機種ニコンF2フォトミックASにバトンを渡すことになるのである。

豊田堅二|プロフィール

1947年東京生まれ。30年余(株)ニコンに勤務し一眼レフの設計や電子画像関連の業務に従事した。その後日本大学芸術学部写真学科の非常勤講師として2021年まで教壇に立つ。現在の役職は日本写真学会 フェロー・監事、日本オプトメカトロニクス協会 協力委員、日本カメラ博物館「日本の歴史的カメラ」審査員。著書は「とよけん先生のカメラメカニズム講座(日本カメラ社)」、「ニコンファミリーの従姉妹たち(朝日ソノラマ)」など多数。