相関係数が高くても因果関係があるわけではない
共通の原因から発生する事象は、相関関係があると錯覚されやすくなっています / Credit:川勝康弘
統計データを分析すると、夏にアイスクリームの売り上げが増えると同時に溺死事故の発生率も増加することが観察されるかもしれません。これは表面的には二つの変数間に正の相関関係があるように見えます(つまり、一方が増えるともう一方も増える)。
言うまでもないかもしれませんが、「アイスクリームの消費が溺死事故を引き起こす」と結論づけることは大きな誤りで実際には、夏という季節が共通の原因となっています。
このように共通の原因から発せられた相関関係がみられる事象には、しばしば因果関係があると錯覚してしまうので注意が必要です。
同様の相関関係があるものの因果関係がない例としては「ミニスカートの流行と株価」「ロシアの政治的トップの頭髪パターン(ツルフサ論)」「SNSの使用と幸福感」「新聞の購入と政治への関心」が知られています。
これらは調査によってしばしば高い相関がみられることがありますが、因果関係があるわけではありません。
参考文献
複数の変数の関係性を見る
https://www.stat.go.jp/naruhodo/10_tokucho/hukusu.html
熊本県:相関係数
https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/13589.pdf
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年と少し。
小説家としての活動履歴あり。
専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。
日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。
夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。