〈街の侵攻を画策?〉勝手に動く“奇妙なパンダ像”の真相…全部で何頭いるのか

東京のJR御徒町駅の南口改札を出てすぐにある「おかちまちパンダ広場」には、人知れず動く“パンダのオブジェ”がある。とある日のパンダたちを撮影した写真が、Xで670万以上のインプレッションを獲得するほど話題になった。

街の征服をたくらむパンダたち

写真を投稿したのは、上野御徒町エリア在住の、くろもんさん(@uenokuromon)。1頭のパンダが、ほか6頭のパンダを引率しているかのようなフォーメーションになっており、くろもんさんは〈「上野御徒町は我々が征服するぞーっ!」「「「おぉーっ!!」」」〉とコメントをつけて投稿。

 するとこのポストは瞬く間に拡散され、1.5万リポスト、14万いいねを獲得。引用リポストでは、そのかわいさにほっこりする反響が寄せられている。

〈すみません、TLにこれしか流れてこないようにしてほしいのですが〉
〈これ私も参加したい〉
〈こいつを増やすためのクラファンあったら絶対寄付する〉

実はこのパンダたち、広場でイベントが行われる度に移動し、さまざまなフォーメーションを組んでいることをご存知だろうか。あるときは会議をしているかのように円形に集まっていたり、またあるときは来訪者を歓迎するように縦一列に並んでいたり。さらに以前には、まるで結界を張るかのように、儀式めいたことをしていることまであった。

広場を毎日のように通るというくろもんさんに話を聞くと、パンダが日々移動していることにはすぐに気づいたものの、「誰かが動かしているところを見たことないのでもしかしたら自分で動いているのかも? と今でも思ってます。笑」とのことだ。

いつ誰がどのような意図で移動させているのか、近隣住民すらわからないほど謎に包まれている。

そこでこの謎を追ってみると、このパンダを管理しているのは、御徒町南口商店会のエリアマネジメント委員会事務局を務める「松坂屋上野」だとわかった。

パンダ広場から目と鼻の先にある上野御徒町のシンボル的なデパートで、店内の各所にもパンダのぬいぐるみやモチーフがあることで知られている。パンダ広場の秘密について担当者に問い合わせると、詳しく教えてくれた。

(広告の後にも続きます)

実は全部で12頭! 残りのパンダはどこに?

全部で12頭いるパンダたちは、みんな2019年7月生まれの5歳。パンダ広場にいるパンダが注目されがちだが、ここにいるのは8頭で、松坂屋上野の屋上にも4頭が放牧されているという。

これまでにパンダの入替はないが、「現在パンダ広場の1頭は、身体測定のためお出かけ中です」とのこと。たしかに、くろもんさんのバズった写真には7頭しか写っていないが、ほかの写真には8頭いることが確認できる。一頭ずつ徹底した健康管理がされているようだ。

また、パンダ広場にいるパンダのなかで、2頭だけが緑のハートの台座に乗っているのだが、こちらについては「もともと12頭全部がハートの台座に乗ってました。いつも外にいますので、大雨、台風、雪、暑さ、寒さなどの影響でハート台座が壊れてしまい、現在は2頭だけハートパンダが残っています」との説明が。悲しいことではあるが、それだけ上野御徒町を見守ってきた証ともいえるだろう。

パンダ広場では年間を通じてさまざまなイベントが催されている。平日は「青空キッチン」としてキッチンカーが軒を連ね、土日はご当地マルシェをはじめ、あげものと相性抜群なお酒が楽しめる「アゲフェス」(2024年6月)や盆踊り大会(2024年8月)、プロレス団体「大日本プロレス」によるパフォーマンス(2024年8月)など、上野御徒町民だけでなく多くの来訪者が一緒になって楽しめる場が作られている。

そんな時にイベントを盛り上げるために一役買っているのが、このパンダたちだ。

「子パンダたちはイベントのお手伝いをしています。出店者さんの指示のもと、あちこち自由に動いてます。ときにはフォーメーションを組み、ときには円陣を組み……。日々の子パンダたちのフォーメーションには特に決まりなどありませんが、子パンダはそんなに重くはないので、陣形は組みやすくなっています」