10月24日に行われたドラフト会議において、オリックスは1巡目で青山学院大学のスラッガー西川史礁にまず入札。ところがロッテとの重複指名となり、岸田護新監督は残念ながら当たりクジを引き当てられなかった。仕切り直しの再入札は富士大のスラッガー麦谷祐介。見事に交渉権を獲得した。今回のドラフトで獲得した選手をそれぞれ見てみよう。
▼1位
麦谷祐介(22歳)
外野手
右投左打
大崎中央高→富士大
【スカウトコメント】
走・攻・守三拍子揃った即戦力外野手。脚力と守備範囲の広さはアマチュアトップクラス。将来的にはチームの主力選手として盗塁王も狙える逸材。
現在のオリックスのウィークポイントは外野なだけに、西川を外しても即戦力で打てる外野手を獲る方針は変わらず。麦谷は甘いマスクとあって、ファンからは早速「またイケメンが加わった」という声も多数聞こえている。ルックスだけでなく長打力やスピードでも貢献できる選手なだけに、1年目からスタメン入りを目指してもらいたい逸材だ。
▼2位
寺西成騎(22歳)
投手
右投右打
星稜高→日本体育大
【スカウトコメント】
大学日本代表にも選出された大学屈指の好投手。伸びのあるストレートと多彩な球種を操る。まだ伸びしろもあり、将来的にはチームのエースとして期待のかかる投手。
2位では即戦力のピッチャーを指名した。今シーズンはコンディション不良による離脱が目立ったものの、依然としてオリックスの投手陣には厚いものがある。球団は将来のエース候補として期待しているが、強力な投手陣に割って入れるかがポイントになるだろう。
▼3位
山口廉王(18歳)
投手
右投右打
仙台育英学園高
【スカウトコメント】
最大の武器はマックス149キロのストレート。決め球のフォークも完成度が高く、打者を圧倒した投球ができる。スケール感満載で無限の可能性を秘めた大型右腕。
指名された瞬間の喜び方がすさまじかったこともあり、さっそくオリックスファンの心をガッチリつかんだ。明るい性格でムードメーカーになれる素質もあり、山本由伸(現ドジャース)のような台頭を期待したい。
▼4位
山中稜真(23歳)
捕手
右投左打
木更津総合高→青山学院大→三菱重工East
【スカウトコメント】
ストレートに力負けすることなく広角に長打が打てる打撃と、俊足、強肩を活かした守備が魅力。走・攻・守三拍子揃った選手で即戦力としての期待がかかる。
4位では内外野もこなせる即戦力のキャッチャーを指名した。今シーズンの終盤には森友哉、若月健矢が同時に離脱するというアクシデントがあっただけに、長打も打てる山中に対する期待は大きい。リード面の勉強を積めば、捕手のレギュラー争いに加わってくる可能性は高いだろう。
▼5位
東山玲士(24歳)
投手
右投右打
丸亀高→同志社大→ENEOS
【スカウトコメント】
伸びのあるストレートが魅力の最速151キロ右腕。勝負球として投じるチェンジアップはプロでも空振りが取れる球質。主にリリーフとしての登板が多いが、先発もできる馬力を持ち合わせており、即戦力としての期待がかかる。
今シーズンのオリックスは、古田島成龍や高島泰都といった社会人出身のピッチャーがルーキーイヤーからフル回転の大活躍を見せていた。同じく社会人出身の東山にも、1年目からの活躍が求められるだろう。
▼6位
片山楽生(22歳)
投手
右投左打
白樺学園高→NTT東日本
【スカウトコメント】
最速151キロのストレートと多彩な変化球を武器に、相手打者を抑えていく安定感のある投球が持ち味。1年目からフル回転の活躍が期待される即戦力投手。
6位でも東山と同じく社会人ピッチャーを指名。スカウトコメントにもあるように、片山も古田島や高島のような活躍が期待されるところ。久々の“NTT東日本枠”に心を躍らせているファンも多いだろう。
▼育成1位
今坂幸暉(18歳)
内野手
右投左打
大阪学院大学高
【スカウトコメント】
走塁に自信を持っており、常に先の塁を狙う姿勢が魅力。打撃では初球からしっかりと自分のスウィングができ、守備では球際の強さもある。走・攻・守すべてにおいて大きな成長に期待がもてる好素材。
▼育成2位
清水武蔵(21歳)
内野手
右投左打
国士館高→栃木ゴールデンブレーブス
【スカウトコメント】
打撃ではスイングスピードが鋭く、長打も期待できる。スピード感のある守備と地肩の強さが魅力の内野手。
▼育成3位
上原堆我(17歳)
投手
花咲徳栄高
【スカウトコメント】
最速148キロのストレートとキレの良いスライダーで三振の山を築いていく投手。将来的にはチームの主力投手になれる可能性を秘めた好素材。
▼育成4位
寺本聖一(21歳)
外野手
右投左打
広島商業高→広島経済大
【スカウトコメント】
しっかりと振り切るスウィングで、広角に長打を量産することができるスラッガー。ハツラツとプレーする姿が魅力の選手。
▼育成5位
田島光祐(24歳)
捕手
右投右打
龍谷大学付属平安高→信濃グランセローズ
【スカウトコメント】
二塁送球1.9秒台の強肩は安定感がある。投手の特徴を活かしたリードができ、守備の要としてチームもリードできる捕手。
▼育成6位
乾健斗(18歳)
投手
右投右打
霞ヶ浦高
【スカウトコメント】
188センチ、88キロの恵まれた体格から投じる角度のあるストレートはマックス144キロを計測。今後の伸びしろを大きく感じさせる大型右腕。
今年は育成ドラフトで6選手を指名。特に1位の今坂は“隠し玉”とも言われているだけに、早々と支配下に昇格する可能性を秘めている。ここ数年は育成からの昇格も積極的に行われている反面、退団する選手も多いので、チャンスを生かしながら諦めずに支配下の切符を掴み取ってもらいたい。
ドラフト会議では6位の指名前に約15分間の中断というアクシデントがあったものの、豊作だった大学生を投打で1人ずつしっかり指名できたのは良かったのではないだろうか。下位も高校生1人、社会人3人とバランスよく指名している。昨年は大学生の指名がなく、同世代の紅林弘太郎はガッカリしていたが、1位の麦谷は来田涼斗とライバル関係を築いていってくれたらおもしろい。岸田オリックスにとって、彼ら若い世代がキーマンになるのは間違いないだけに、キャンプまでの仕上がりが楽しみだ。
文⚫︎THE DIGEST取材班