球場を盛り上げ、選手とファンをつなぐチアリーダー。中でも、台湾プロ野球(CPBL)のチアリーダーは数年来、日本のファンからも熱い視線が向けられています。
台湾チアを“箱推し”するねとらぼでは多くの台湾チアにインタビューし、それぞれの魅力をお届けしています。今回お話を聞いたのは、台南の台南棒球場をホームとする「統一ライオンズ」のチアチーム「Uni-Girls(ユニガールズ)」の斐棋(フェイチー、Faye)さんです。
本連載でも取り上げた日本人チアのChihiroさんとNozomiさんも所属するUni-Girls。斐棋さんは2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)には台湾代表の公式チアリーダー「クラシックガールズ」に選出。また、2024年11月に開幕する野球の国際大会「WBSC世界野球プレミア12」の台湾代表チアチーム“AMAZE”にも選ばれるなど、高い人気と実力を併せ持つUni-Girlsの人気チアです。
チアリーダーが向いていると思った
―― はじめに、チアリーダーを目指したきっかけを教えてください。
斐棋 もともとダンスを習っていたことに加えて、ステージに立つことが好きでした。チアリーダーという仕事はこの2つのミックスなので、すごく私に向いていると思い選びました。おかげさまで、WBCの代表チアとして国際試合のステージで踊る経験もできました。この仕事が私は大好きです。
―― チアリーダーをしていて良かったと思える瞬間はどんなときですか?
斐棋 うれしいのは、球場でファンの皆さんが私のタオルや応援ボードを掲げてくれているのが見えたときですね。頑張っていて良かったなと思えます。また、私個人の活動やステージを応援してくれるファンの方もいて、いつもとても感謝しています。
―― 大変なのはどんなときですか。
斐棋 練習です。応援歌だけでも100曲以上ありますし、試合前のオープニングダンスなどは毎回違ったものをやるため覚えるのが大変です。Uni-Girlsの全体練習は毎週月曜日に4~6時間ほどやるのですが、ガールズデー(チアリーダーをフューチャーしたテーマ日)があるとその練習もありますし、他の仕事のダンスの練習もあります。終わりなく延々と練習が続いている感覚です。
ドラミングにも定評のある斐棋
―― 先日のガールズデーの試合前イベントでは見事なドラム演奏を披露されていました。あればいつから始められたのですか?
斐棋 小さい頃、楽器を習いたいと思っていて、いろいろと見た中で1番動きのあるドラムに惹かれました。私、こう見えて、わりと活発なタイプで、ピアノなどは弾いているうちに眠くなってしまって(笑)。そんな私でも、ドラムはダンスに近い感覚で楽しんで叩けました。ただ、もともとリズム感があまり良くないので、そこは少し意識して演奏を続けています。
―― 2024年のUni-Girlsには海外からのメンバーが3人加わりましたね。
斐棋 過去に米国留学していた経験が海外メンバーと接する上で役に立っています。当時は日本や韓国、それ以外にも多くの国から来た人たちと関わる機会がありました。日本の子は、仲良くなるとすごくかわいいなと感じることが多かったですし、そばにいるとたくさんの日本語を学べました。
日本でチアをやっていたNozomiやChihiroとは「おはよう」「おつかれさまです」といった簡単な日本語を使ってコミュニケーションしています。
2人はとてもダンスが上手ですね。先日、西武との交流試合で日本に行った際にも、BLUE LEGENDSの皆さんのダンスが素晴らしいなと感じました。もともと持っている素質もそうですが、恐らく皆さん長年しっかりダンスをやってこられたのだろうなと。ジャンプや、足の上げ方、アクロバットなど全ての動作が素晴らしかったです。
※編注:BLUE LEGENDS(ブルー・レジェンズ)は、プロ野球・埼玉西武ライオンズのチアリーディングチームの名称
―― 斐棋さんが思う台湾のチアリーダーの強みはどんなところですか?
斐棋 私の考える台湾チアの強みは“個性”です。台湾のチアは、海外と比べてより自由な感じです。例えば、ポージングなどは台湾チアは得意だったり。また、司会者を務めたり、演技の仕事をしたりといったさまざまな分野に挑戦しやすい環境にあるのも私たちの強みだと思います。
日本大好き斐棋
―― Instagramで日本の紹介をされていたりもする斐棋さんですが、日本の中で特に好きな場所はありますか?
斐棋 日本の全部が好きです! 私が行ったことがある中で1つお勧めするなら、草津温泉と軽井沢の一帯です。リラックスできて自分をリフレッシュする感覚になります。東京、大阪や京都、いずれの地方も行ったらまた行きたくなるし、ずっと滞在したくなりますね。
―― 日本の食べ物で好きなものはありますか。
斐棋 たくさんあって1番が決められません……(笑)。すき焼き、寿司、焼き肉、豚カツ全部おいしい。お店は、叙々苑が好きです。お昼の時間に一人焼肉に行ったのですが、ランチセットがおいしい上に値段もリーズナブルでとっても良かったです。あとは市場に行くのも好きです。「(日本語で)築地おいしいです」。
―― 東久留米の銭湯に行くのが好きというマニアック情報も耳にしました。
斐棋 元々温泉がすごく好きなのに加えて、サウナも好きで。東久留米のスーパー銭湯はすごく広くて、温泉やサウナに加えて、マッサージや岩盤浴、食事処に休憩できる場所まであって、それに隅々まで清潔で本当に素敵です。台湾にはこんな“温泉のパラダイス”はないのですごく気に入っています。次は家族を連れていきたいです。
―― 台湾の温泉だと北投温泉が日本では知られています。斐棋さんお勧めの台湾の温泉はありますか?
斐棋 宜蘭県の礁溪温泉、新北市の烏來温泉、この2つは悪くないですよ。私の好きなお湯にとろみがあって温かいタイプの温泉が台湾にも幾つかあります。特に礁渓温泉近くにあるホテルはリラックスできてお気に入りです。
WBSCプレミア12の台湾代表チアに抜てき
―― 将来の目標を教えてください。
斐棋 まずはチアリーダーとして、さらに進化していきたいです。
チアリーダー以外では、私はすごく旅行、日本に遊びに行くことが好きなので、機会があれば旅行番組の司会や、自身で旅行関連のメディアを持てたら良いなと思っています。
―― 2024年11月に開幕する野球の国際大会「WBSC世界野球プレミア12」の台湾代表チア“AMAZE”にも選ばれました。
斐棋 AMAZEに選ばれたことは光栄ですし、とても感謝しています。
観客の皆さんと一緒に熱い応援を繰り広げ、台湾チームに多くのポジティブなエネルギーと勝利をもたらしたいと思っています。全力を尽くし、チームとともに最高の自分を発揮できるように頑張ります。台湾チームの素晴らしい活躍を期待しています!
―― 最後にこれを読んでいる日本のファンにメッセージをお願いします。
斐棋 先日の西武ライオンズとのコラボデーが私にとってチアリーダーとしては初めてとなる日本遠征だったのですが、現地に来てくれた日本のファンが、私たちのポスターやタオルを持って来てくれたことに感動しました。遠い日本から、ずっと応援してくださっていることに心からの感謝を伝えたいです。
また、日本から台湾に応援に来てくださるファンの皆さん、いつも本当にありがとうございます。これからもチアリーダーとして日本に行ける機会が増えることを願っていますし、皆さんもぜひ台湾に、台南棒球場に遊びに来てくださいね。