ITF(国際テニス連盟)が現地時間10月21日に発表したコーチングに関する新ルールが現役選手の間で議論を呼んでいる。
ITFによると、新ルールは来シーズンから適用になり、全ての大会のポイント間、チェンジコート、セット間で、コート外からの口頭または手信号でのコーチングが可能になるようだ。
試合中のコーチングはすでに女子テニスツアーで実施されており、男子テニスにおいても四大大会など一部の大会で試行されていたが、今回の変更により男女間で統一のルールのもと行なわれることになる。
この発表を受けて、元世界ランク10位のデニス・シャポバロフ(カナダ/現世界ランク95位)は自身のX(@denis_shapo)を更新し、新ルールについて「プレーヤーとしてだけではなく、テニスファンとしても悲しい。テニスは特別なスポーツだ。なぜこのスポーツの美しさをなくしてしまうんだ?」と綴り、批判の声を上げた。
また、世界ランク6位のテイラー・フリッツ(アメリカ)も自身のX(@Taylor_Fritz97)にて、関連する投稿を引用リポストする形で「テニスにおける一対一の精神、戦略的な面白さを台無しにするのはやめてくれ」と投稿。シャポバロフと同様にルール変更に異を唱えている。
一方で、世界ランク1位のヤニック・シナー(イタリア)はこの変更をさほど問題視していないようだ。海外テニスメディア『UBITENNIS』によると、シナーは今季最後のマスターズ大会である「ロレックス・パリ・マスターズ」(フランス・パリ/室内ハードコート)への出場を前にしたインタビューで、新ルールについて「(テニスが)信じられないほど変わるとは思わない」と冷静に回答。
「これからもテニスが一対一のスポーツだということに変わりはないと思う。みんなコーチとは長い付き合いで、お互いを深く理解している。だから今までも、コーチの表情を見れば(コーチングがなくても)言いたいことがわかっていたはずだ。これまでと状況は変わらないと思うよ」
シナーの言うように、コーチとの関係性がしっかり構築されている選手にコーチングの有無が影響を及ぼすことはあまりないのかもしれない。しかし、新たなコーチを迎え入れたばかりの選手や、劣勢により選手が著しく冷静さを欠いている状況ではどうだろうか。新ルールが選手のプレーにどのような影響を与えるかの答えは来シーズン早々に明らかとなるだろう。
構成●スマッシュ編集部
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