「重要な瞬間に失敗」「全てを台無しに」メキシコGP予選でクラッシュの角田裕毅に各国メディアは厳しい反応! マルコ顧問も「安定してきたと感じていたが…」

 F1第20戦のメキシコ・グランプリは10月26日に予選が行なわれ、ビザ・キャップアップRB(以下RB)の角田裕毅は2戦連続で11番手となった。

【動画】角田がセクター12でウォールに突っ込み赤旗中断に… 初日の2度のフリー走行でいずれも3番手につける好パフォーマンスを発揮し、フリー走行3回目でも20周回で1分17秒302という全体7番手となるベストタイムを計測した角田には、予選での好結果が期待されていたが、Q1を7番手でクリアした後のQ2、ラストアタックで順調にタイムを刻んでいたものの、スタジアムセクションに入るターン12でフロントタイヤがロックしてリアが滑り、そのままウォールに突っ込んで赤旗中断(そのまま終了)を引き起こしてしまった。

 チームメイトのリアム・ローソンら、後続のドライバーのタイムアタックを台無しにしてしまったクラッシュについては、角田自身も予想外のことだったようで、チームの公式サイトを通して「スタジアムセクションで車のコントロールを失いました。この週末に一度も経験していなかったフロントのロックアップがあり、少し奇妙でした」と振り返り、以下のように心情を明かしている。

「ここで示せてきたペースを最大限に活かせなかったのは残念だし、チームには申し訳なく思っています。今夜、どれぐらい車にダメージがあるのかを調べ、明日に向けて何ができるかを探ります。レースに向けて、ポイント圏内でフィニッシュするための戦略を練っていきます」

 また彼は、メディアのインタビューでも「Q2で敗退するとは全く予想していませんでした。車の損傷はそれほど深刻ではありませんが、どのような状態なのかを確認する必要があります」と語っており、また米国GPから導入された新しいフロアについては「大規模な改善ではなく、短縮できても0.08秒未満」とした(ドイツのモータースポーツ専門サイト『『MOTORSPORT TOTAL.COM』』より)。

 RBはSNSで「予選は残念な結果に終わったが、ペースは良さそうだ。日曜日はポイントを稼ごう!」と角田を激励し、マシンパフォーマンス担当の責任者であるギューム・ドゥゾトゥも「トップ10に入る可能性を感じていたが、残念ながらユウキがターン12でのブレーキング中にコントロールを失い、バリアに衝突した。それでも彼は無事で、まずまずのグリッドからレースをスタートできる。ポイントを獲得できるペースもあるので、それが明日な目標となる」と、決勝での巻き返しに期待を寄せている。
  ただし、各国メディアの反応は厳しいものが多く、ブラジルのモータースポーツ専門サイト『GRANDE PREMIO』は「角田はタイムを改善して脱落圏から抜け出そうとしていたが上手くいかず、チームメイトの走行にも影響を与えてしまった。初日の2セッションでいずれも3番手につける驚きの結果を残した彼は、ファエンツァのチームを予選に向けて勢いづけたが、残り10秒の時点でミスを犯し、全てを台無しにしてしまった」と伝えた。
  また、イタリアの自動車専門サイト『MOTORIONLINE』は「日本人ドライバーは、スタジアムセクションの入り口でコントロールを失い、他のドライバーにも大きな影響を与えた、オランダのF1専門サイト『RN365』は「角田はQ2の終盤に赤旗中断を引き起こし、自身とローソンからQ3進出の可能性を排除した」と、それぞれ振り返っている。

 一方、オーストリアのモータースポーツ専門誌『MOTORSPORT MAGAZIN.COM』は「角田が最も悪いタイミングでクラッシュ。RBは中団で最も有力なチームと見られていたが、これで彼らは11、12番グリッドからのスタートとなり、一方でライバルのハースは2台ともQ3に進んだ」とネガティブに報じたが、「角田はVCARB01の修復が長引けばピットスタートを強いられる可能性もあるが、そうならなければ依然としてポイント獲得に向けて良いポジションにいる」と入賞の可能性も示唆した。

 注目されている角田の去就とこのクラッシュを結びつけるメディアも少なくなく、オランダのモータースポーツ専門サイト『GPBLOG』は「角田のクラッシュは、RBにとって痛手となった。彼はセルジオ・ペレスのシートを狙っているが、レッドブルに良い印象を与えられなかった」と綴っている。

 前出の『MOTORSPORT TOTAL.COM』は、レッドブルのヘルムート・マルコ顧問がスポーツ専門チャンネル『Sky Sports』で「(角田は)オースティンでスピンを喫し、今度は予選でクラッシュ。我々は彼が安定してきたと感じていたが、ローソンからプレッシャーをかけられたことで、その影響が見られる」と日本人ドライバーに対して厳しい見解を示したことを紹介した。

 英国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』は、「ホンダの後押しによる年末のレッドブルでのテストの噂が飛び交う中、ユウキは重要な瞬間に失敗を犯した。もし彼が本当にペレスの候補としてレッドブルから考えられたいのであれば、このようなミスは許されない。唯一のポジティブな点は、ローソンの前につけたことだが、ニュージーランド人ドライバーはF1復帰からまだ2回目の予選であり、またタイム差もわずか0.03秒に過ぎなかった」と、厳しい記述に終始している。

 そして同国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、「角田は古い友人であるピエール・ガスリー(アルピーヌ)にQ3行きのチケットを譲った」「ローソンはQ3進出を逃したことで苛立っているだろうが、角田のすぐ後ろの12番手につけたこの日の結果は、レッドブル昇格を目指す上で、またひとつの勝利である。なぜなら、ペレスはQ1敗退(18番手)、角田はウォールに衝突する中で、ひとり最も安定したドライビングを披露したからだ」と伝えるとともに、以下のように厳しく指摘している。

「ペレスの不安定な成績が続く中、角田はそのチャンスを活かしたとは言いがたい。ローソンが好パフォーマンスを発揮する傍らで、プレッシャーを受けてスピンを繰り返すのは、レッドブルで走るのに相応しいメンタルを有していることを証明するのには全く役に立たない」

構成●THE DIGEST編集部

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