球界をけん引するスーパースターの負傷は、”野球不毛の地”にも大きな衝撃をもって報じられている。
現地10月26日、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平がニューヨーク・ヤンキースとのワールドシリーズ第2戦で左肩を負傷した。先発した山本由伸の快投でチームは2連勝を飾ったが、予期せぬアクシデントでグラウンドを途中で去った日本人スターの動向には日米メディアだけでなく、英国の大手紙も大きな関心を注いでいる。
球場が騒然としたのは、ドジャースが3点をリードした7回だ。ここまで3打席ノーヒットが続いていた大谷は1死から四球で出塁。続くムーキー・ベッツは空振り三振に倒れ、2死一塁の場面になると大谷は3番テオスカー・ヘルナンデスの打席で初球スチールを敢行。タッチアウトになった後、グラウンドにしばらく倒れ込んだ。
大谷は相手二塁手のタッチをかわそうとスライディングした際に左肩を痛めたようで、しばらく苦悶の表情を浮かべる。日本人スターのただならぬ異変にデーブ・ロバーツ監督はすぐに血相を変えて飛び出し、トレーナーとともに駆け寄った。米放送局『Fox Sports』によれば、大谷は右手で左腕を支えながら「肩っすね」とケガの箇所について説明。トレーナーから「外れた?」と聞かれると「たぶん」と答えるなど、現場でのやり取りが肉声で確認できたという。
試合後、ロバーツ監督は大谷の負傷について「左肩の亜脱臼のようだ」と明かし、MRI検査を受けるまでは怪我の程度を完全に把握することはできないと断ったうえで、「2、3日中に詳しいことが分かるだろう。筋力の可動域は良かった」と語り、楽観的な見方を示唆した。
一方、米スポーツ専門局『ESPN』のオールデン・ゴンザレス記者によると、大谷は第2戦終了後のチャーター便でチームと一緒に移動はせず、「ロサンゼルスで精密検査を受け、その後ひとりでニューヨークへ飛び、チームと合流する予定だ」と自身のXで伝え、次戦以降の出場可否については現地メディアの間でも大きな注目を集めているという。 米球界を代表するスターの衝撃的なアクシデントは英国を代表する老舗紙にも届いている。1896年創刊の大衆紙『Daily Mail』は「ドジャースに悪夢のような大打撃、ショウヘイ・オオタニの恐ろしい負傷」という過激な見出しを打ち、記事を配信。サッカーのニュースが中心の同紙のなかで、マイナースポーツの野球に異例のページ数を割いた。
記事内では、「ロサンゼルス・ドジャースは、ワールドシリーズ第2戦でオオタニが肩を負傷して退場するという悪夢に見舞われた。昨オフに10年総額7億ドル(約1015億円=当時)の契約を結んだこの二刀流スターは、二盗を試みたあと、なかなか立ち上がることができなかった」と綴り、「ドジャー・スタジアムに不気味な静寂が訪れるなか、オオタニはクラブハウスに姿を消した」と異様な状況を補足した。
4年ぶりのワールドチャンピオンまであと2勝となったドジャースだが、同メディアは大谷の負傷程度によっては、このまま欠場の可能性があることを示唆したうえで、「チームの象徴を失うとなれば、大きな痛手である」と言及。ポストシーズンで勝負強い打撃を発揮してきた大谷の離脱は、チームにとって戦力的にもメンタル的にも計り知れないダメージだと説いている。
試合終了後、わずか2分でクラブハウスを出たという大谷。その際は左肩を固定する様子もなかっただけに最悪の事態は免れたようだが、出場可否についてはまだ不透明だ。
はたして、現地28日からの敵地ヤンキー・スタジアムで行なわれる第3戦に背番号17の姿はあるのか。世界中の野球ファンが、その動向を固唾を飲んで見守っている。
構成●THE DIGEST編集部
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