初戦で錦織圭を破ったドレイパーがウィーン大会でATP500初優勝!「とても幸せだし、自分とチームを誇りに思う」<SMASH>

 男子テニスツアーのATP500シリーズ「エルステ・バンク・オープン」(10月21日~27日/オーストリア・ウィーン/室内ハードコート)は大会最終日の現地27日にシングルス決勝を実施。第7シードで世界ランク18位のジャック・ドレイパー(イギリス)が同24位のカレン・ハチャノフ(ロシア)を6-4、7-5で下し、同カテゴリーでの初優勝並びに今季ツアー2勝目を飾った。

 今年6月の「ボス・オープン」(ドイツ・シュツットガルト/芝/ATP250)で記念すべきツアー初優勝を飾った22歳のドレイパー。「エルステ・バンク・オープン」初出場となった今大会は初戦で元世界4位の錦織圭(現141位)を破ると、その後もルチアーノ・ダルデリ(イタリア/42位)、トマス・マハーチュ(チェコ/27位)、パリ五輪銅メダルのロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/17位)ら実力者を連破して決勝へ駒を進めていた。

 決勝では前週の「アルマトイ・オープン」(カザフスタン・アルマトイ/室内ハード/ATP250)でツアー7勝目を飾ったハチャノフと対戦。序盤から正確なリターンと強烈なフォアハンド、フラットで伸びのあるバックハンドクロスを駆使して主導権を握り、第3ゲームで先にブレークに成功。反対にサービスゲームでは相手に1度もブレークチャンスを与えず、幸先よく第1セットを先取した。

 第2セットに入ってもドレイパーの勢いは止まらない。ハチャノフを幾度となく左右に揺さぶってテンポ良くポイントを重ね、一気に4-0とリード。だがここからハチャノフが息を吹き返し、ラリー戦でポイントを取れなくなったドレイパーが5ゲーム連取を許して4-5と逆転されてしまう。
  それでもドレイパーは冷静だった。第10ゲームをきっちりとキープすると、直後の第11ゲームでは激しい攻防の末に値千金のブレークを獲得。迎えたサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップでは2本のブレークポイントを握られながらも何とか凌ぎ、1時間35分で試合を締めた。

 ちなみにイギリス人男子選手が「エルステ・バンク・オープン」で初出場での優勝を果たしたのは、2014年のアンディ・マリー(元1位/引退)以来10年ぶりの快挙だ。試合後にドレイパーは準優勝のハチャノフを称えつつ、次のように喜びを語った。

「途中まではとてもいいプレーができていたけど、その後少し流れが変わってしまった。ただ正直に言えば、あまり緊張はしなかった。僕自身はショットを数回ミスしたり、判断を間違えたりしただけで、単純にカレンのレベルが上がった。それが彼の実力だ。彼はファイターで、(最近は)絶好調だった」

「本当に緊迫した展開だったが、僕のプレー自体は良かったし、メンタル面も良好だった。幸運にもピンチを切り抜けることができ、ホッとした。ATP500で初めて優勝できて、信じられない気持ちだ。とても幸せだし、自分とチームを誇りに思う。こういう瞬間のために頑張ってきたから、今この時を存分に楽しみたい」

 なお今回の優勝によりドレイパーは大会終了後に更新される世界ランキングで自己最高位の15位に浮上することが確定。一方敗れたハチャノフは惜しくも2週連続でのツアー優勝を逃した。

文●中村光佑

【動画】ドレイパー対ハチャノフの「エルステ・バンク・オープン」決勝ハイライト

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