昨季ウエスタン・カンファレンス1位タイの57勝25敗(勝率69.5%)を記録し、プレーオフでもカンファレンス・セミファイナルまで勝ち進んだオクラホマシティ・サンダーは、優勝候補の一角として新シーズンを迎えた。
10月中旬、今オフに新加入したセンターのアイザイア・ハーテンスタインが左手骨折のため出遅れることが発表されたとはいえ、サンダーはここまで開幕3連勝。エースのシェイ・ギルジャス・アレキサンダーが平均28.7点、8.7リバウンド、6.3アシスト、3.0スティール、2.0ブロックとフル稼働している。
現地時間10月27日(日本時間28日、日付は以下同)のアトランタ・ホークス戦では、ギルジャス・アレキサンダーがいずれもゲームハイとなる35得点、11リバウンド、9アシストに3スティール、3ブロックと大暴れ。ジェイレン・ウィリアムズも20得点、9リバウンド、5アシスト、2スティール、ルージェンツ・ドートが16得点を残してエースをサポートした。
とはいえ、サンダーの強さを語る上で先発センターのチェット・ホルムグレンの存在も欠かせない。キャリア2年目を迎えた216cm・94kgの俊英は、ホークス戦で25得点、9リバウンド、4アシストに驚異の6ブロックをマークし勝利に大きく貢献した。
また、26日のシカゴ・ブルズ戦では21得点、2ブロックにキャリアハイの16リバウンドを奪取。ここまでの3試合で平均23.7点、13.0リバウンド、3.0アシスト、1.3スティールにリーグトップの4.0ブロックと絶好調だ。
今夏のトレードでブルズからサンダーへ加わったチーム最年長(30歳)のアレックス・カルーソは、ブルズ戦後に受けた記者からの質問のなかで、ロサンゼルス・レイカーズで2020年に優勝した同僚アンソニー・デイビスとホルムグレンに似ている部分があるか聞かれ、こう切り返していた。
「AD(デイビスの愛称)と比較するのは難しいね。だって彼は現時点ですでに多くのことを達成しているから。当然、チェットがそこまで辿り着くためにはまだまだ道のりは遠い。けど、チェットなら自身の運命をコントロールできると僕は見ている。
彼にはハードワークの精神と競争力が備わっている。上手くなっていく上でそのふたつを持ち合わせていれば、NBAでも自分の運命をコントロールできるんじゃないかな」
22歳のホルムグレンに対し、31歳のデイビスはキャリア13年目を迎えた208cm・115kgのベテランビッグマン。ウエストでサンダーとともに3戦無敗を誇るレイカーズで、デイビスはリーグトップタイの平均34.0点に11.0リバウンド、3.3アシスト、1.7スティール、2.3ブロックと猛威を振るっている。
オールスターに9度、オールNBAチームとオールディフェンシブチームにそれぞれ5度も選ばれた攻守兼備のデイビスは、ブロック王に3度輝いたほか、NBAの75周年記念チームにも名を連ねていることから、実績面で見ればホルムグレンとの差は大きいと言わざるを得ない。
それでも、カルーソはこう話す。
「チェットはものすごくたくさんのことをこなせる、スペシャルなプレーヤーなんだ。このチームへ多彩さをもたらしてくれる。彼が持ち込むダイナミックさは、このリーグのチームでもそれほど多く備わっていない。彼にはスキルがあって、ものすごく負けず嫌いなんだ。
(選手として)成長し、上手くなることを心底望んでいる。それに勝ちたがっている。若い選手だけどそういった一面を目にできるのは素晴らしいことだし、チームメイトとして大好きなんだ」
サンダーとレイカーズの今季初戦は11月29日のため、ホルムグレンがデイビスとマッチアップするのは約1か月後になる。それでも、サンダーのビッグマンが1年目からさらに成長を続けていることは、このチームの未来をさらに明るくしていると言えるだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
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