現役世代の声が政治に反映される未来
今回の衆議院選挙で大幅に躍進した政党がもう一つある。改選前98議席から148議席へ伸ばした立憲民主党だ。
日本テレビの出口調査における年齢別の比例投票先を見ると20-30代では国民・維新の第三極があわせて約35%と最多なのに対し、50代では第三極と立憲が21%で拮抗、60代以上では立憲が野党最多の投票先となる。
つまり与党に対する高齢者の批判票は、高齢者にとってなじみ深い政治家たちが集う立憲民主党に流れたということになる。
高齢世代の人口と投票率の高さゆえに、野党の中では立憲民主党が最大の議席数を得たということだ。
選挙後、「一番に取り組みたい政策」について問われた玉木国民民主代表は「年収の壁の引き上げ(による減税)」を挙げた一方、野田立憲民主代表は「紙の保険証を使えるようにする」と答えた。
これにはさすがに「一番に取り組みたい政策がそれなのか」と、SNSで批判や失望の声が集まった。最大野党がいまだシルバー民主主義にとらわれていることが明らかになった瞬間である。
若い世代は自身の生活基盤を築くのが最優先であり、仕事で成果をあげることや、人生のパートナー探しに忙しい。ただでさえ投票に行く優先順位が低くなりがちなうえ、長く続いた“自分たち不在”の政策論争で無力感を覚えるのも仕方ない。
しかし国民民主党・日本維新の会といった第三極政党がキャスティングボートを握り、若い世代の声が政策として実現していくと、その意識も変わってくる可能性がある。
玉木国民民主代表の判断次第では、いままで見たことのない国会議論が見られるかもしれない。その可能性に、ワクワクしている。
文/中田智之